16日投開票された佐賀県知事選は、35・26%という過去19回で例を見ない低投票率で終わった。保守分裂の「地方対中央」の構図などで全国の衆目を集めたにもかかわらず過去最低を記録した前回から、さらに約20ポイント急落するなど危機的な状況となった。なぜ投票率は低下したのか。結果が見えていた、投票所が遠い-。投票を棄権した県内の有権者の声や学識者の分析から、複数の要素が絡み合った末の結果が見えてくる。

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 「何も知らない自分が投票して結果を左右することは、良くないと思った。政治のことを知っている人が投票した方がいい」。県内の大学に通う男子学生(19)=多久市=は棄権の理由をこう話す。16日が投票日だったことも知らなかったといい、若者に多い政治への無関心をうかがわせる。

 これまでの選挙では欠かさず投票してきた唐津市内の自営業男性(75)は「結果が目に見えていたから」投票所に足を運ばなかったという。今回の投票率低下については、投票所の遠さを原因の一つに挙げる。「知人の中には自力で投票に行けない人も増えた。昔みたいに歩いて行ける場所に投票所を」。市町村合併や人口減少による投票所数の減少も影を落とす。

 飲食店を営む伊万里市の女性(38)は「期日前投票の期間も含めて、単純に仕事が忙しかったから投票に行けなかった」。前回は投票し、今回も関心はあった。勝敗が予測できていたことと投票に行かなかったことは関係ないとするが、年末の繁忙期に選挙が重なったことは少なからず影響している。

 佐賀大学経済学部の畑山敏夫教授は、強固な組織力の現職に共産系新人が挑む構図に「結果見え見えの『冷めた選挙』に成り下がってしまった」と分析する。同様の構図で今年行われた長崎、滋賀、香川、和歌山県知事選も、20%台から40%台に低迷している。

 また今回は現職が組織力を生かした選挙戦を展開したのに対し、新人候補が原発再稼働やオスプレイ配備計画など国策課題を中心に訴えるなどして論戦がかみ合わず、「佐賀で暮らす上で何が論点なのかが完全に消えた」と読み解く。

 さらに、前回から知事選単独になったことで「以前は県議選も含め統一地方選の中で多くの街演車が行き交い、選挙戦を実感できたが、今回は県政の趨すう勢せいを占う雰囲気が作れなかった」と指摘する。今後についても「保守地盤の強い佐賀では、野党が一致して候補者を出し、国政に影響を与えるような選挙戦にしない限り埋没してしまう」と投票率低迷が続く可能性に言及した。

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