まちづくりを語ろう会@上峰で意見を交わす参加者たち=上峰町民センター

 佐賀新聞社は、上峰町の将来像をテーマにした座談会「まちづくりを語ろう会@上峰」を開いた。町が進める中心市街地再開発計画に対し女性や消費者の目線で意見を述べる「kami女椿の会」から、商工業や健康福祉、スポーツ、文化、町づくりなど各分野で活躍するメンバー5人が参加。それぞれの立場から、魅力ある中心市街地像や、町外からも人を呼べる観光プランについてアイデアを出し、武広勇平町長と意見を交わした。

 -皆さんの活動紹介を。

 西村 町内の都紀女加(つきめか)王墓でボランティア活動に取り組んでいる。メンバーは約35人。月に1回、周辺を清掃、週に1回、花壇へ水やりをしている。メンバーで上峰町の地酒「鎮西八郎」を造っており、評判がいい。今年は12月20日に完成する予定。都紀女加王墓は町内の人も知らない人が多い。もっと知ってもらえるように頑張っている。

 古長(こちょう) 坊所地区でもの作りを楽しむ人が増えるような環境づくりを進めている。ここでしか手に入らないような付加価値の高いもの作りを広めたい。中高生らにニット帽やアクセサリー作りなどを教えることが多い。子どもたちの中でハンドメードの位置付けは部活などに比べて低い。関心ある人に呼び掛けている。

 江島朋 町役場の健康福祉課長で福祉・介護全般を担当し、住民との関わりが多く、生の声を直接聞ける。現在、来年3月末の運行開始を目指す通学福祉バスに取り組んでいる。通学バス、町内巡回バス、高齢者を対象にした乗り合いタクシーの3形態の周知に努めている。

 江島昭 町商工会女性部長を務めている。女性部では3年ほど前から、町特産のツバキ油にエッセンシャルオイルで香りを付けたツバキオイルを販売。町内での販売が主だが、ふるさと納税の返礼品に採用され、口コミで町外の人にも人気がある。またボーカルアンサンブル「フェリーチェ」で活動し、学校や病院、お寺などで演奏している。

 松井 上峰町の総合型地域スポーツクラブ「ふれあい友遊かみみね」でクラブマネジャーを務めるとともに、小中学生にバレーボールを教えている。Vリーグのジュニアチーム「佐賀ジュニアブレイザーズ」も指導し、県体協の公認スポーツ指導員協議会幹事も務めている。今後、中学生を中心に大きなスポーツのうねりが来ると思う。それに備えていろいろ勉強している。

 -町内の住民の活動について、町長はどう思うか。

 武広 活動する人の拠点がないとずっと前から思っていた。例えば、ツバキオイルや日本酒をつくる加工場がないし、古長さんのような人たちが交流する場もない。人が行き交う場所にスポーツ施設もない。巡回バスで中心地を起点に各交流拠点を巡るネットワークができれば。皆さんが活動できる場をつくっていきたい。都紀女加王墓は宮内庁が指定した陵墓だが、なかなか顕彰ができていなかった。この辺りは古くから歴史がある。ぜひ子どもたちに伝えていきたい。

 西村 上峰町のいいところを巡る観光ルートがほしい。町は田んぼも素晴らしく、そういうものを生かした観光ルートをつくっては。9万年前の阿蘇の火砕流で埋まった太古木(国天然記念物の八藤(やとう)丘陵)がある。空気に触れると劣化するので埋められたままだが、世界文化遺産の三重津海軍所跡(佐賀市)のように映像を使った展示をしてはどうか。

 -それぞれの活動を通して、「もうちょっとこうなれば」と望むことは。

 松井 中学校の運動部を見直すガイドラインが文部科学省から出された。そこでうたわれるのが地域の総合型スポーツクラブ。上峰で全国のモデルとなるようなスポーツの町づくりができると思う。その上で足りないのがクラブハウス。何度もチャレンジしているが実現が難しい。中心市街地の再整備で、クラブハウスを実現してほしい。

 武広 中学校では既に野球が成り立たず、小学校のサッカー人口も減っていると聞いている。学校の先生は業務が忙しく、部活まで求めるのはハード。役所でもアウトソーシング(外部委託)が進んでおり、先生たちの業務を分業するのであれば、総合型スポーツクラブから後押しする必要がある。

 江島昭 私は文化的な施設がほしい。今も図書館はあるが、狭くて勉強するスペースもない。もっと開放感があり、みんながちょっとした時間を過ごせるような図書館があれば。カフェなどを併設し、談笑できるスペースやスタジオ、キッチンスペースなどいろんな機能があるのが理想。町民センターは規制が多い。もっと自由に使えれば。

 古長 アクティブな活動と文化的な活動に自由に使え、気軽に足が運べる場所が町の中で重要だと思う。規制が少なく、フリーで活動しやすい施設は日本中でも数少ない。イオン跡地をはじめとした中心市街地は立地に恵まれている。こういう場所に施設ができれば、町が大きく躍進するきっかけになる。

 武広 最近は図書館の概念が変わってきている。複合化はもちろん、メディアテークという概念も出てきた。音楽や美術、映像などの資料、情報を提供する公共施設のことでマルチメディア図書館とも言われる。地元の情報発信は地元でやりたいと思っている。

 西村 この前の大雨では、避難所の体育館前が水浸しになり、住民からは避難所なのに避難できないという声も出ていた。新たに図書館など建てるなら、建物自体を安心して避難できるものにしてほしい。特にお年寄りは困っている。今の異常気象では何が起こるか分からない。早急に対応をお願いしたい。

 -上峰という町を考えたとき、これからどうなってほしいか。

 西村 安心安全の町。そして住んで楽しい町になってほしい。

 古長 以前、神奈川県に25年間住んでいた。母からどうしてもと頼まれて2010年に帰ってきたが、当時、町は辺ぴで不便で何にもないと思っていた。しばらくなじめなかったが、町の皆さんとの関係がつながりだして、人の心に触れた感じがしてなじめた。この町に来てみたいと思う人が増える町になればいい。

 江島朋 高齢化が進み、独居のお年寄りが増えるなど不安要素が多い中で、高齢者の人が地域に必要とされ、元気に活躍できる町になればいい。上峰は住むのにちょうどいい場所。町中に行くのにも便利だし、ほどよく田舎でおいしい食べ物もあり、災害も少ない。高校生や大学生の娘たちもずっと住みたいと言っている。若者が住みたいと思う町でもあってほしい。

 江島昭 楽しいことができる町がいい。やりたいことができる町は、若い人にとっても楽しい。

 松井 子どもたちが育つ町でありたい。子どもたちが力を蓄え、大人になって戻ってきてこの町にエネルギーを注いでくれる。そういう子どもたちを育てられるような場所を私たちの手でつくっていきたい。

 -町長、一通り話を聞かれてどうだったか。

 武広 上峰町にとって今年は節目の年になった。昨年から3年計画でホップ・ステップ・ジャンプと言って来ており、今年はステップの年。大きく飛躍するための準備段階で、来年はいよいよジャンプを始める。移住者の中には地元との接点がなくて孤独を感じている人がいるとも聞く。そういう意味では交流拠点は必要。来年は「時代の先へ、一人のそばへ」を掲げ、一人一人に行政サービスが届くようにしていきたい。「わくわくすることを全力で」という視点で、町づくりを頑張っていきたい。

 

 ■出席者

▽江島 昭子さん(57)=町商工会女性部長

▽江島 朋子さん(50)=町役場健康福祉課長

▽古長 和世さん(49)=吉野ヶ里編み物工房シエナのいおり代表

▽西村 淳子さん(81)=県商工会連合会女性部顧問・元町議会議員

▽松井 結華さん(53)=総合型地域スポーツクラブふれあい友遊かみみねクラブマネジャー

▽武広 勇平・上峰町長

 ■進行

 大隈 知彦・佐賀新聞社編集局長

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