再選が確実となり、万歳三唱する山口祥義さん(中央)=16日午後8時30分、佐賀市八幡小路の事務所

相手候補の当確を受け、今回の選挙戦を振り返る今田真人さん(左)=16日午後8時13分、佐賀市神野東の事務所

 山口県政の継続を有権者は選択した。共産党系新人との一騎打ちになった師走の佐賀県知事選は16日、現職の山口祥義さん(53)が19万9670票を獲得して再選を果たした。佐賀市の事務所で約400人の支持者を前に勝利宣言をし、「それぞれの現場が輝くように県政を動かしたい」と力を込めた。国策課題には「県民の幸せのために(国と)骨太にしっかり対(たい)峙(じ)していく」という姿勢を示した。

 県内全20市町に後援会組織をつくり、首長らが役員に名を連ねた。6月に立候補を表明した後、260以上の団体から推薦を得て、前回は対立候補を支援した政権与党の自民、公明の推薦も取り付けた。「野球で言えば重量打線」(陣営幹部)で選挙戦に臨んだ。

 知名度がなかった前回から一転し、街演で回ると「知事さん」と気軽に声を掛けられ、手を振る人が大幅に増えた。「前回は県内を二分する結果になったけれど、今回はオール佐賀をつくる」。決意を胸に、選挙中は唐津市や鳥栖市など、以前は得票が伸びなかった市町を重点的に回った。

 演説ではあまり国策課題に触れなかったが、自衛隊輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画の地元に当たる佐賀市川副町では選挙戦終盤の13日、厳しい寒さの中で集まった支援者に10分間にわたり説明した。3年半に及ぶ検討や計画受け入れの理由を訴え、「ノー、ノーと言うのは簡単だが、知事は責任を持って道筋を立てなければならない」。初めて相手候補に対する反論を口にした。

 選挙への関心がなかなか高まらず、集会では空席も目立った。反応を見て、話す内容を変えるなど苦心した。「手応えや、良い悪いさえよく分からない。(開票結果は)通知表みたいなものだから常に不安はある」。戸惑いも吐露した。

 16日午後8時の投票終了と同時にテレビで「当確」の一報が流れた。15分後、事務所に現れた山口さんは支援者の拍手に包まれながら花束を受け取った。「投票率が低いのは正直言って残念、無念」と述べつつ、「将来の佐賀県の羅針盤を皆さんと議論して示すのがリーダーの仕事。ぬくもりのある県政をやりたい」。2期目に向けて気持ちを新たにした。

今田氏「力不足を痛感」

 投票締め切り直後、テレビが相手候補の当選確実を報じた16日午後8時すぎ、佐賀県知事選に挑んだ新人で共産党県委員長の今田真人さん(72)は佐賀市神野東の事務所で「力不足を痛切に感じている」と敗戦の弁を述べた。その上で現職に対し「批判票を受け止め、『佐賀のことは佐賀で決める』という初心に帰り、県民に寄り添ってほしい」と注文した。

 山口県政の国策対応への不満から、共産党として対抗馬の擁立を明言したのが7月。現職がオスプレイの受け入れを表明した8月以降、「無投票阻止だけでは駄目」と大学教授や弁護士に立候補を働き掛けたが、実らない。その後も「適任者がいれば」と粘ったものの、告示が迫り、自ら出馬をすると腹をくくった。

 出遅れを「ウサギとカメのレース」に例えて臨んだ選挙戦。オスプレイの佐賀空港配備計画反対や玄海原発即時廃止を掲げ、佐賀市川副町や東松浦郡玄海町、唐津市を丹念に遊説した。配備計画に揺れる川副町では街頭演説を聞き、握手を求めてくる住民もいた。ぎこちなかった握手は徐々に慣れ、新調したスニーカーはすっかりくたびれた。

 事務所で「命を守るという訴えに共感してくれた」と振り返り、集まった約10人の支持者に「長い選挙も皆さんのおかげで戦えた」と感謝した。

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