鳥栖-G大阪 後半41分、ヘディングシュートを決める鳥栖FWトーレス(右)=鳥栖市のベストアメニティスタジアム

 救世主と呼ぶにふさわしい活躍だった。ワールドカップ(W杯)ロシア大会でリーグが中断されていた7月に電撃加入した元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスは、後半戦の17試合に出場。献身的なプレーで仲間を鼓舞し、チームをJ1残留に導いた。

 「鳥栖が難しい状況にあることは、入るときから分かっていた。残留に貢献できてほっとしている」-。リーグ最終節の鹿島戦を終え、トーレスは激闘となったシーズンを振り返り、こう心境を明かした。

 期待を一身に集めて鳥栖入りした世界的ストライカーは、来日1週間後の仙台戦(7月22日)でJ1デビューを果たした。「2試合、3試合とやっていけば、チームにいい貢献ができる」。その手応えは次第にかたちになった。

 元スペイン代表MFイニエスタとの競演に注目が集まった天皇杯4回戦・神戸戦(8月22日)。途中出場を果たすと、右足で来日初ゴールを決めた。4日後のリーグ戦第24節・G大阪戦(8月26日)でもゴールネットを揺らした。

 9月は得点が生まれず、チームも1勝2分け1敗と波に乗り切れない時期が続いた。湘南戦(10月6日)で敗れ、5試合を残して降格圏17位に後退。このタイミングで前監督のフィッカデンティ氏から交代した金明輝(キン・ミョンヒ)監督は長崎戦(11月4日)からトーレスにキャプテンマークを託した。

 「私の役割は変わらない」と本人は語っていたが、中盤まで下がって相手選手に圧力をかけたり、体を張ってボールを保持する場面を何度も目にした。走行距離は後半26分で退いた神戸戦(11月10日)を除いて10キロを超え、その献身的な姿がサポーターの胸を熱くした。

 リーグ戦17試合で3得点。世界のサッカーファンを熱狂させてきたストライカーにすれば本領発揮とは言えないのかもしれない。それでも、そのひたむきな姿が謙虚な心でサッカーに向き合い、努力を続ける大切さを改めて教えてくれた。

 「鳥栖が日本で重要なクラブになるように貢献していきたい」。チームの歴史に新たな1ページを加えた救世主は、未来に向けて力強くこう語った。

 

フェルナンド・トーレス鳥栖での歩み

■7月10日 スペイン・マドリードでサガン・ドリームスの竹原稔社長が同席し、サガン鳥栖への加入を発表

■7月15日 東京都内で記者会見

■7月16日 佐賀市城内の幕末維新記念館前広場で歓迎セレモニー、初練習

■7月22日 リーグ戦第17節・仙台戦で後半途中から初出場し、J1デビュー

■7月28日 リーグ戦第18節・磐田戦で初先発

■8月22日 天皇杯4回戦・神戸戦で元スペイン代表MFイニエスタと初競演。来日後初ゴールを決める

■8月26日 第24節・G大阪戦でリーグ戦初得点。全得点に絡む活躍で3-0の完封勝利に貢献

■10月20日 第30節・仙台戦でリーグ戦2得点目を挙げる

■11月4日 第31節・長崎戦で加入後初めてキャプテンマークを巻く

■11月24日 第33節・横浜M戦で決勝ゴールを決める

■12月1日 最終節・鹿島戦で引き分け、J1残留を決める。4試合連続でキャプテンマークを巻く

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