「ギロチン」と呼ばれた諫早湾干拓潮受け堤防。手前が有明海=2011年6月撮影

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、菅直人首相は潮受け堤防の排水門の開門を命じた福岡高裁判決について「開門により海をきれいにしていこうという判断は重い」と述べ、上告を断念することを表明した。判決はその後、確定した。

 「ギロチン」と呼ばれた1997(平成9)年の堤防閉め切り以降、タイラギなど有明海の二枚貝の漁獲量は大幅に減少し、漁業者が開門を求めて提訴していた。「動き出したら止まらない公共事業の典型」と環境保護団体などから強い批判が上がっていた巨大プロジェクトの大転換となった。

 判決の後、国は干拓地の営農者らの反発で対策工事に着手できないのを理由に開門を引き延ばし、確定判決を履行しない異例の事態が続いた。2017(同29)年4月に長崎地裁で開門を認めない判決が出たのを受け、一転して開門しないで漁業振興基金の創設による問題解決を図る方針を明確にした。

 福岡高裁の開門関連訴訟で今年7月、確定判決を事実上無効化する判決が言い渡され、開門派は最高裁に上告している。法廷闘争が続く一方、11月にはタイラギの7季連続の休漁が決まるなど有明海再生の道筋は依然として見えない。

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