朝が寒いと、このままずっと寝床にいたい、なんて思いませんか。早く春になってほしいと思うのはちょっと気が早いかもしれませんが、冬眠をする動物はそう思っているかもしれませんね。たくさん食べて、丸々太って、冬ごもりをします。その間は、体温は下がり、心拍(脈拍)もゆっくりとなり、極力エネルギーを消費しないようになっているようです。人間は冬眠をしませんが、冬に遭難し、長期間たってから救助され、奇跡的に助かった人がいることから、条件が整えば冬眠できる潜在的な能力は有していると考えられます。食べなくても数カ月は大丈夫という説もあります。

 では、食べ物が不足した時に必要なエネルギーは、どうやって得られるのでしょうか。まず一つは、糖を貯蔵する形であるグリコーゲンの利用です。グリコーゲンは短期的なエネルギーの貯蔵形態であり、24時間程度で、すぐに消費されてしまうといわれています。なお、佐賀出身の江崎利一氏が作った「グリコ」という名前は、グリコーゲンが由来だそうです。

 もう一つは脂肪の利用です。元々、摂取した糖分もタンパク質も脂肪も、余ればすべて「脂肪」の形で身体に蓄えられます。脂肪は長期的、かつ、大量のエネルギーの貯蔵形態です。自分のお腹を手でつまんでみてください。つまめるところは、「お肉」(筋肉)ではなく残念ながら(?)「脂肪」です。この脂肪をエネルギーとして消費するためには、酸素が必要です。やせるためには、息をこらえて行う瞬発的な運動よりも、持続的な有酸素(エアロビック)運動が良いといわれるのはそのためです。

 食べ物がない時に備える働きが、あだになってしまったわけです。太り気味の方は、65歳頃までは食べ過ぎに注意が必要です。(佐賀大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター専任副センター長 江村正)

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