右からアニメ「ゾンビランドサガ」に出演している声優の本渡楓さんと田中美海さん

 放送中のアニメ「ゾンビランドサガ」に出演する声優の本渡楓さんと田中美海さんが、佐賀市の嘉瀬川河川敷で先月開かれた「2018佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」でイベントステージに出演後、佐賀新聞社の独占インタビューに応じた。バルーンフェスタを満喫した感想のほか、本作の収録や役が決まった時の裏話なども明かした。

■バルーンは「かっこいい」

-バルーンフェスタを体験した感想は。

本渡 大量のバルーンが飛び立っていく姿に感動した。カラフルで個性的なデザインもあり、きれいだった。実際に係留のバルーンに乗ってみると、バーナーは熱いし音もすごくて“きれい”というより“迫力”が勝り「かっこいい」という印象に変わった。

田中 私もバーナーを体験した。実際に操縦できたらかっこいいだろうな。

本渡 バルーンは布の部分(球皮)が丸いイメージが強かったが、いろんな形があるのを知った。バルーンフェスタでは、パンダのバルーンが特に“リアル寄り”で、面白くて気になった。ロメロちゃん(作中に登場するゾンビ犬)のバルーンとかできたらいいのに。

-会場で開かれていた物産展で、田中さんは大量に買い物をしていた。

本渡 同じ物をたくさん買ってたよね(笑)。

田中 もともと丸ぼうろ(※1)が大好きだったが、佐賀のお菓子と知ってからもっと好きになった。他にも嬉野茶(※2)などを買った。

本渡 私はのりの佃煮とワラスボ(※3)、ムツゴロウ(※4)を買った。地元や東京では見かけない物だから興味が湧いた。

■番組名を隠して参加

-2人が演じるキャラクターを含む作中のアイドルグループ「フランシュシュ」は佐賀県PR大使を委嘱されており、2人も作品や佐賀を体当たりでPRしている。バルーンフェスタのトークイベントでも、ガタリンピック(※5)に出場したエピソードを披露した。

田中 (出場当時は)アニメが放送前で、番組名を隠して参加しなければならず、宣伝ができなかったためかえって変に目立ってしまった(笑)。大人も子どもも泥まみれになって楽しんでいて、「泥遊びって大人になっても楽しいんだな」と改めて思った。肌もつるつるになった感じがした。

-10月にインターネットテレビ「AbemaTV」で放送されたハロウィーン特番で、本渡さんはゾンビメイクにも挑戦した。

本渡 元々、自分が演じるキャラクターに合わせたコーディネートを楽しむ趣味があるが、この時は特番のためにメイクさんを呼び、ゾンビメイクをしてもらった。「ゾンビランドサガ」はスタッフの方々の作品愛がすごい。アニメではゾンビが人間のメイクをするが、今回は逆なのも面白かった。この作品に携わらなかったらこんな仮装はやらなかったと思う(笑)。

■「舞台は佐賀」発覚はオーディション後

-本渡さんは「フランシュシュ」の源さくら役、田中さんは星川リリィ役だが、それぞれの配役についての印象は。

本渡 オーディションを受けた時の台本は、さくらも(二階堂)サキも標準語で書かれていた。受かって初めて台本を開けた時に佐賀が舞台と知り、「(佐賀について)勉強しなきゃ!」と思った。

田中 実はリリィのほか、さくらとサキのオーディションも受けていた。最終的にリリィに決まったが、今考えるとさくらは楓ちゃんだし、サキは(田野)アサミさんしか考えられない。こうやってリリィに巡り会えたのも不思議な感じ。

-それぞれのキャラクターを演じる上で心掛けていることは。

田中 初めは頑張ってかわいくしようと考えていた。でもリリィは一番幼くてわがままで、自由奔放な感じのキャラクター。そのイメージのまま、かわいさなどを考えずに演じたら自然にできた。収録した後でみんなに「かわいい」と言ってもらえて安心した。

 でも考えてみれば、他のキャストもみんな自然体。しかも話数を重ねるごとに、みんなでどんどん上り詰めている感じがしている。

本渡 さくらはキャラクターの中で一番ニュートラルな存在。初めは周りに振り回されている印象があって心配だった。でも話が進むにつれて、土壇場で無意識に自分の限界を超えるたくましい姿が見られるようになった。その一方で、肝心な場面でスベったりするところは愛らしい。

 私も初めは、かわいい絵のアニメだからかわいくしようと意識していた。でもディレクション(監督からの指示)をもらった時に、「本渡さんのそのままの声でいいから」と言われた。「私の声を信用してもらっているなら」と、素直にさくらとして情景を思い浮かべるよう思い直してからは、飾らない自然な演技を心掛けている。

-第5話では、伊万里市の鶏肉料理店「ドライブイン鳥」(※6)の有浦定幸社長と、佐賀県広報課の近野顕次さんもアフレコに挑戦している。

本渡 収録は別々だったが、社長は本人役ということで、どの役よりもリアルだった(笑)。収録現場にも一度来てくださり話したが、優しくて温厚な方。それが声にそのままのっていた。近野さんはドライブイン鳥のマスコット「コッコくん」役で、セリフではなく鳴き声での出演だったが、初めてなのにしっかりこなしていてすごかった。

田中 佐賀に深く関わっている方だからこそ愛が伝わってきて、同じアニメに出演できたのがうれしかった。

■「キャストでアニメ再現したい」

-収録現場でも佐賀の特産品を満喫しているとか。

本渡 スタッフさんが収録現場に佐賀の特産品を持ってきてくれる。丸ぼうろは見た目のふわふわ感と噛んでみての触感、さっぱりした甘さが好き。10月の「さが維新まつり」(※7)の時にワラスボを買って帰ったが、生前の姿を検索して思い出しながら食べると、かみ応えがあって元気が出てくる(笑)。

田中 イチゴが大好きで、イチゴを使ったお菓子がとてもおいしかった。「さがほのか」(※8)や「いちごさん」(※9)も気になっている。

-今後、PRイベントで訪れてみたい場所は。

本渡 嬉野温泉(※10)! 円形の足湯(蒸し湯)は珍しいから体験したい。キャストみんなでアニメを再現しながら収録を振り返りたい。

田中 エンディングで描かれているいろいろな場所に行って写真をたくさん撮りたい。ロメロも置いてみたりして。

 

メモ

(※1)卵、小麦粉、砂糖を主な原料とする焼き菓子。小城ようかん、逸口香と並び佐賀を代表する銘菓で、江戸時代に日本へ伝来した南蛮菓子が原型。長崎から佐賀を通って福岡・小倉に至る当時の長崎街道は、砂糖の交易路にもなったことから「シュガーロード」とも呼ばれ、菓子文化が栄えた。佐賀出身で早稲田大学の創始者でもある大隈重信も好んで食べ、佐賀の菓子店を東京の自宅に招き来客に振る舞ったとも伝えられる。

(※2)中心産地は佐賀県嬉野市嬉野町だが、実は佐賀・長崎で生産されるお茶のほとんどを指す。甘み・うまみが強い「蒸し製玉緑茶」と、すっきりした味わいの伝統製法「釜いり茶」の大きく分けて2種類がある。いずれも葉の形が加工の過程で丸くなるのが特徴。全国茶品評会の蒸し製玉緑茶の部門で最高賞「農林水産大臣賞」と「産地賞」を5年連続で獲得し、釜いり茶も3年続けて「産地賞」に輝いた。近年は若手生産者らを中心に紅茶にも取り組んでいる。

(※3)「有明海のエイリアン」とも例えられるハゼ科の珍魚。日本には有明海にしか生息しない。全長25~45センチで、内臓や血管が透けて見える体やむき出しになった歯など、きわめて個性的な姿をしている。食用には内臓を取り除いて干物にしあぶったり、煮付けにして食べることが多い。

(※4)「有明海のシンボル」と佐賀県民に愛される水陸両生魚。繁殖期の5~7月には、ピョンピョンとジャンプして求愛する雄の姿が有明海でよく見られ、多くのカメラマンが集まる。キャラクターとしての起用も多く、佐賀県警の「ごろうくん」や佐賀空港の「むっぴー」など公的なマスコットのほか、非公認のゆるキャラ「有明ガタゴロウ」も存在。一般的にはかば焼きで食べられる。

(※5)佐賀県鹿島市の干潟を舞台に、毎年初夏に実施される大運動会。出場者はムツゴロウさながらに泥にまみれながら競技を楽しむ。約3万人が来場し、海外選手も多く参加するが、大会は市民の手作りで多くのボランティアが支える。地域文化の発展への貢献が認められ昨年、サントリー文化財団の「サントリー地域文化賞」に選ばれた。

(※6)1969年創業で年間15万人が訪れる人気店。「やき鳥一番 鳥めし二番」の大きな看板が目を引くが、最も売れているのは鳥めし(500円)という。昨年、鳥めしのもと(600円)も発売した。福岡県糸島市にも店舗がある。

(※7)明治維新150周年にちなみ、「薩長土肥」の一角をなした肥前佐賀藩の偉人たちを顕彰しようと今年10月に佐賀市で開かれたイベント。維新期の偉人たちを模した時代行列などがあり、嬉野市出身の女優・三根梓さんも佐賀藩最後の藩主鍋島直大の妻・栄子(ながこ)役で参加した。「ゾンビランドサガ」からは本渡さんのほか紺野純子役の河瀬茉希さん、ゆうぎり役の衣川里佳さんの3人がトークショーに出演。

(※8)現在の佐賀県産イチゴの主力品種。熊本県や宮崎県でも生産され、栽培面積は「とちおとめ」に次ぎ全国2位を誇る。佐賀県が1991年、大玉品種「大錦」と当時の県産主力品種「とよのか」を交配して開発し、98年にデビューした。果実の形がそろい大粒で、とよのかに比べて硬いためパック詰めの出荷作業が軽減される省力型としても注目された。糖度が高く、酸味が少ない食べやすさが評判。

(※9)「さがほのか」に次ぐ佐賀県産イチゴの20年ぶりの新品種として今年、デビューを飾った。県とJAグループ佐賀、生産者が7年かけて1万5千株の中から選抜した。キャッチコピーは「眺めてうっとり、かじって甘い」。今月7日には東京・大田市場に初出荷された。

(※10)佐賀県嬉野市嬉野町の温泉。ナトリウムの含有量が多い重曹泉で、皮脂を乳化して洗い流す泉質は「日本三大美肌の湯」に数えられる。開湯と地名の由来には、外征の帰りにこの地を訪れた神功皇后が、温泉を見つけ「うれしいの」と喜んだという伝説がある。温泉水はグルメにも使われ、豆腐のタンパク質を分解しとろけさせる温泉湯豆腐が有名。温泉地としてバリアフリーに力を入れ、楽天トラベルの「シニアに人気の温泉地ランキング」で3年連続1位を獲得している。

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