インターネットを使った選挙運動が解禁されて2回目の佐賀県知事選。現職は会員制交流サイト(SNS)で街頭演説の様子などを発信し、新人は出遅れが響いて手が回っていない。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、ネット情報の重要性は増しているが、準備期間や組織力の違いで発信力に格差が生じている。

 現職の山口祥義候補(53)は公式ウェブサイトがあり、普段からフェイスブック(FB)を活用する。選挙中もこまめに更新し、街演隊から届く複数の動画や政策を掲載している。

 4年前と比べてスマートフォンやアプリの機能が向上し、動画編集が短時間でできるようになった。陣営は「若い人へのアピールにネット情報は不可欠。全ての人が出陣式や決起大会に来ることができるわけではないから、動画で生の雰囲気を伝えたい」と話す。

 告示の2週間前に立候補を表明した新人の今田真人候補(72)は準備が遅れ、専用のサイトやSNSは設けていない。表明と同時に発足した支持母体の政治団体も同様で、選挙中に立ち上げる計画はないという。

 代わりに、陣営幹部や共産党議員が自身のSNSやブログで情報を発信している。陣営は「選挙になってにわかに取り組んでも間に合わない。普段からやっていないと、つながりが増えないし、波及効果も期待できない」とする。

 ネット選挙運動は当初、有権者にとって候補者の公約や考え方に触れやすくなり、SNSを使った対話で人物像への理解が深まる効果が期待された。2013年の制度開始から5年が経過したが、地方選挙は依然として、街演車で巡回して有権者と顔を合わせる「地上戦」が優先され、ネットの活用に温度差がある。

 佐賀新聞社が県内高校生5千人に実施したアンケート調査(選択肢から二つまで回答)では、政治の情報を得る方法として、インターネット(スマートフォン、タブレット端末)と回答した生徒が67・9%に上り、テレビに次いで2位だった。候補者と接する機会がないまま期日前投票をした男子学生(21)は「サイトがなければ政策や人物像が分からない」と話す。

 関西大学政策創造学部の岡本哲和教授(政治学)は、若年層に限らず、ネット情報への接触が投票行動に一定の影響を与えていることを研究で明らかにしている。ネット選挙運動に関しては「誰にでも扱えるが、効果的に使うには手間とお金が必要になる」と指摘し、今回の知事選の状況は両陣営の準備期間や組織力の差を映し出しているとみている。

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