寒い季節になると、生活水全般が冷たくなりますので、知覚過敏の歯をお持ちの方には不便な季節になります。さて今回は歯がしみたり治ったり、またしみたりと繰り返す場合や、以前に治療を受けた歯が再び悪くなったという経験をされたことがある方に関する話をしたいと思います。

 お口の中の清掃状態は良好で、むし歯もない、歯周病もないのに、同一の歯が悪くなってしまう背景には、自分自身の噛(か)む力が原因になっていることがあります。夜中の歯ぎしりやくいしばりの癖はその筆頭にあがりますが、硬いものを噛み砕くのが好きという習慣も、歯が割れる、破折する、ひびが入るなどの原因になります。

 歯や歯茎(はぐき)は年齢とともに弱ってしまいますが、噛み砕く顎の力というものは年齢を重ねても必ずしも弱ったりしないことが知られています。むしろ高齢になって噛む力が増すこともあるくらいです。硬い食べものを噛み砕く快感が定着していると、同じ歯で同じように好みの硬いお菓子類を長年噛み砕いているわけですが、それが一度ダメージを受けて治療した歯となると、次には歯根までダメージを受けてしまうことになります。

 過度な力が歯に加わっているかどうかは見ることができませんし、エックス線写真や検査数値にも現れませんので、歯科医院を受診してもなかなか表に出てきにくくて私たち歯科医を悩ませるわけです。しかし、もし患者さんご自身が力のことに気がついて伝えて頂ければ、解決のヒントにつながり、対応も早くなります。健全な歯の場合は、最初の兆候はしみるという現象から始まります。よくある一過性の知覚過敏であれば問題ありませんが、過度な力が関係するものであれば相応の対応が望ましいです。いつも同じ助言の繰り返しにはなりますが、この場合の受診は、メンテナンスを定期的に受けることができるかかりつけの先生がもっとも有効です。心当たりがある方は早めに受診されることをお勧めしたいと思います。(すみ矯正歯科院長 隅康二)

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