先月、尿管がんのお話を書きましたが、その後、人気司会者の方がぼうこうがんでぼうこうを全て摘出する手術を受けるというニュースがありました。ぼうこうがんは早期に発見されれば内視鏡治療でぼうこうを温存することが可能なのですが、この方は2年ほど前から闘病しておられ、今回ぼうこう全摘を受けることになられたようです。

 ぼうこうは腎臓で作られ尿管を通って出てきた尿を一時的にためておいて1日に数回排せつするための臓器です。これを全部取ると尿をためておくことができなくなるのですが、それでも作られた尿をどうにかして体外に排せつすることができるようにしなくてはなりません。これを尿路変向(にょうろへんこう)と言います。尿路変向術については、50年以上前から患者さんの状態に合わせたいろいろな手術法が研究されてきました。

 ぼうこう全摘後の尿路変向術として現在もっとも多く行われているのは回腸導管と呼ばれる方法で、小腸の一部である回腸を15センチ程度切り出して、片方に尿管を縫合し尿が中を流れるようにし、反対側はおなかに出して人工肛門のようなストーマを作る方法です。術後はおなかに集尿袋を貼り付けて過ごします。一見とてもややこしいやり方のように感じられるでしょうが、他の方法と比べて術後の合併症が比較的少なく、手入れも比較的容易なことから、よく選択されているようです。他にも、尿管を直接おなかに出してストーマを作ったり、腸をより長く切って丸く成形し元のぼうこうのように尿をためることができるようにする方法などがあります。

 ぼうこうを取り尿路変向を行う手術は、泌尿器科で扱う中でも最も手間がかかる手術のひとつで、術式にもよりますが6~10時間程度を要します。受ける方もやる方も、覚悟のいる手術なのです。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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