いろんな人でにぎわう「佐志食堂」=11月17日、唐津市佐志浜町の佐志公民館

 唐津市の郊外、佐志公民館で毎月第3土曜日に開店する地域食堂「佐志食堂」は、今月からご飯のお替わりを自由にした。JAバンク佐賀と「さが・こども未来応援プロジェクト」から応援の米が届くようになったからだ。

 4月に始めて8回目。今月は最も多い140人が訪れた。開店時間前から待っている小学生、若いママさんの仲間、そして1人暮らしのお年寄り。発起人で食生活改善推進協議会佐志支部長の深川美保さん(55)は「居場所になっている」と実感する。

 最近、「居場所づくり」の記事が目に付く。「子どもに『第三の居場所』。唐津市に開設」(10月27日付)、「佐賀県が子どもの居場所情報サイト開設」(11月16日付)、「佐賀『こども』地域円卓会議、居場所づくりへ課題共有」(11月25日付)などなどだ。

 では居場所とはどんな場所だろうか。「第三」と言うように、家でも学校でもない。もちろん単なる「物理的空間」ではない。そこに行けば落ち着き、ほっとする。安心感があり、疎外感を感じない。まさに「心の居場所」だ。

 子どもの貧困問題をきっかけに各地に「子ども食堂」が開設された。きちんと食事を食べていない子どもがいるという現実問題を知った人たちが行動を起こした。そうした動きの中で、「多様な人を結びつけ、関係性を築く場」の必要性が注目されるようになった。

 「地域食堂」と銘打つように、佐志食堂は地域のさまざまな人たちを受け入れる。広く開かれた場とすることで、本来、来てほしい子どもや親に気兼ねなく足を運んでもらおうという思いからだ。

 月1回、あるいは数回の開設では、当然ながら限界はある。ただ、目を向けてくれる大人の存在は子どもたちの安心感につながる。まちで会えば、あいさつを交わす関係にもなるだろう。そしてもう一つ、食を提供する側の人たちにとっては社会参加の場となる。

 子どもを取り巻くさまざまな問題に胸を痛めつつ、自分に何ができるだろうか。そう自問していた人たちが、日常生活の延長で支援活動に加わることができる。

 冒頭紹介したように、米など食材の提供やふるさと納税を活用した寄付もそうだ。佐志食堂の料金は中学生以下は無料で、大人の食事代300円と社会福祉協議会の活動費10万円で運営する。かつがつの資金繰りで、大人が来てくれるだけで支援になるという。

 きょう29日、佐賀県知事選が告示される。子どもの相対的貧困率が全国の2倍を超える沖縄県では、先の知事選で「子どもの貧困対策」が争点の一つになった。NPOや住民が主体となった「居場所づくり」を地域に根付かせるためどんな支援が必要か。具体的で実効性のある施策を考える機会にしたい。(吉木正彦)

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