選挙に関するクイズで、悩みながら解答に移動する生徒=小城高

タブレットを使ってアンケートに答える生徒たち=小城高

タブレットを使ってアンケートに答える生徒たち=小城高

タブレットを使ってアンケートに答える生徒たち=小城高

 佐賀県内の高校生約5000人が回答した「18歳選挙権」のアンケート調査の結果からは、選挙権の行使に意欲的な高校生の姿が浮かび上がった。一方、依然として政治との間に距離を感じており、政治家に対する不信感はむしろ強まっている。投票への意欲を、政治と関わる実感につなげるための方策が求められる。

■18歳選挙権影響と効果 若者の意見反映実感なし 年齢引き下げは肯定的

 県内の高校生は、選挙権年齢の18歳以上への引き下げを肯定的に受け止めながらも、その影響や効果を実感するには至っていない。

 「18歳と19歳にも選挙権が与えられたことをどう受け止めていますか」との質問では、「どちらかと言えばよかった」が52.2%、「よかった」が25.7%と、肯定的な意見が約8割を占めた。選挙権年齢の引き下げはほぼ全員が「知っている」と答え、広く浸透している。

 一方、「18歳選挙権によって、若者の意見が政治により反映されるようになったと思いますか」との問いでは、「思う」「少し思う」は合計で27.4%にとどまり、「あまり思わない」が40.9%と最も多かった。

 若者の意見が政治に反映されていないとの実感があるためか、「18歳選挙権」が日本の政治や若者に与える影響力についても懐疑的な見方が上回った。「18歳選挙権で日本の政治や若者は変わると思いますか」との質問では、「変わる」が21.9%、「変わらない」が33.9%。ただ最も多い回答は「分からない」の44.2%であり、2016年の公選法改正からまだ2年ということから、影響や効果を見定めている段階とも考えられる。

■情報を得る手段 テレビ、スマホ大半、学校の授業伸び率高く

 政治の情報やニュースを得る手段(複数回答)は、テレビが前回同様の83.4%で最も多く、スマートフォン(インターネット)が67.9%(前回比1.7ポイント増)、「学校の授業」が19.2%(同3.2ポイント増)と続いた。前回同様、テレビやスマホからが大半を占めている。

 新聞は0.8ポイント減の18.8%、「家族との会話」は3.5ポイント減の17.3%、「友人との会話」は0.4ポイント増の9.3%だった。「特に得ていない」は4.1ポイント減の2.9%。

 「学校の授業」は伸び率が他より高く、学校での主権者教育への取り組みが反映されてきていることがうかがえる。

■佐賀の将来どうなる 「変わらない」6割

 「日本の将来についてどう思いますか(不安がありますか)」と尋ねたところ、「悪くなり不安」と答えた人が48.3%で最も多く、次いで「変わらない」が43.7%、「良くなり明るい」は8.0%にとどまった。半数近くが将来に対して、悲観的に捉えている現状が見受けられた。

 「佐賀県の将来」に絞って問うと、「変わらない」が最多の59.6%に上り、「悪くなり不安」は23.0%で日本の将来と比べて25.3ポイント低く、逆転する結果となった。「良くなり明るい」は17.4%で、地元への期待も垣間見える。

■政治活動参加 高校生のデモ評価割れる

 政治活動に「参加したくない」は前回と比べ2.5ポイント増の34.8%で、「参加したい」と答えた生徒は1.0ポイント減の10.4%だった。「分からない」が1.5ポイント減の54.8%と過半数を占め、投票からさらに踏み込んだ政治と関わることには慎重な姿勢が強まっている。

 デモに高校生や大学生が参加することについて評価が割れている。「あまり共感できない」が2.7ポイント増の37.3%、「まったく共感できない」が1.7ポイント減の13.9%の計51.2%。「少しは共感する」は1.3ポイント減の36.3%、「大いに共感する」は0.3ポイント増の12.5%の計48.8%だった。

■投票行動 選挙権行使、8割が意欲 体験者少なく

 アンケートを実施した時点(11月5~20日)で選挙権を得ていた高校3年生は52.8%の874人だった。このうち、選挙で実際に投票を経験した生徒は3.2%の27人だった。

 2018年度は国政選挙が実施されておらず、投票権を行使する機会がなかったケースが大半だったとみられる。衆院選(10月)が実施された17年度の調査では、選挙権を行使した割合は高かった。

 選挙権を得たら「必ず投票する」は28.8%、「できれば投票したい」は52.3%で計81.1%に上る。「あまり投票しようと思わない」は6.7%、「投票しない」は1.5%で計8.2%だった。

 国政選挙と地方選挙で投票行動に違いはあるか尋ねたところ、「すべての選挙で投票に行く」と答えた人は63.5%。「地方選挙では投票」は20.0%で、「国政選挙では投票」の6.2%を13.8ポイント上回った。国政より地方選挙への関心がやや高い結果となった。

■政治・課題への関心 気になるのは就職、働き方 政治・課題への関心

今の日本の政治に「関心がある」と答えたのは16.6%で、「少し関心がある」(40.8%)と合わせると、6割近くが国政への関心を示した。

 ただ、政治を「身近に感じる」と答えたのは10.7%にとどまった。「あまり身近でない」(44.0%)と「遠い存在」(17.9%)を合わせると6割を占めた。主権者教育が進められる中、依然として、10代の有権者と政治との距離は縮まっていない。

 関心のある課題(複数回答)では「若者の就職、労働問題」(45.2%)が、「東京五輪・パラリンピック」(41.9%)を抑え、前回とトップが入れ替わった。人手不足問題などで将来に向けた働き方への関心が深まったとみられる。「少子化対策」は前回並みの34.4%だった。

■政治家への信頼 厳しい視線森友問題影響?

 日本の政治家を信頼しているかの問いに、「信頼していない」と答えた人は、前回より3.5ポイント上がり65.6%で3分の2近くを占めた。「信頼している」は3.5ポイント下落し34.4%にとどまっている。「森友、加計(かけ)学園問題」や閣僚の適性が問われる問題など国政への不信感が影響しているとみられる。

 男女別では、「信頼していない」は女子が男子より4.8ポイント高い67.6%だった。政治家になりたいと思うかを尋ねたところ、96.5%が「なりたくない」と答えた。議員のなり手不足が問題化している中、高校生にとっても政治家の魅力が乏しい状況がうかがえる。

■政治との接し方 家族と話題に3割超

 家族と政治について話すかどうかを尋ねたところ、「まったく話さない」「あまり話をしない」がともに3割を超えた。同世代の友人とは「まったく話さない」「あまり話をしない」を合わせて8割を超える。前回調査と傾向は変わらず、身近な人と日常的に話をしている高校生は少なく、政治を生活に引きつけて考える機会は少ないようだ。

 政治家のホームページや会員制交流サイト(SNS)での発信を見るかどうかの問いには、「まったく見ない」が7割を超えた。

 高校生が政治や選挙に関心を持つために必要なことを複数回答で尋ねたところ、「普段から新聞を読んだり、ニュース番組を見たりする」「学校の授業で、政治や選挙に関する主権者教育を充実させる」が4割を超えた。

<調査結果を見て>高い意識、確かなものに

佐賀県高校教育研究会地歴公民部会 土橋輝也教諭(佐賀商高)  

 選挙権年齢の18歳への引き下げを7割以上が好意的に受け止めるなど、政治に対する佐賀県内の高校生の意識はおおむね高いことが分かる。授業で作文を書かせても前向きな意見が目立ち、同じ傾向が感じられる。

 ただ、「若者の意見が政治に反映されているか」「18歳選挙権で日本の政治や若者は変わるか」といった投票結果についての質問には否定的な意見が多く、政治に対する全体的なイメージとのギャップがある。高校生はまだ、政治を遠い世界の出来事だと感じているのだろう。

 これは特に国政で、投票行動がもたらした変化が見えづらいことが背景にあるとみられ、政治家の側からの情報発信に期待したい。高校でも政治家と生徒が対話できる場をつくりたいが、政治的中立性を確保する観点から難しさを感じている教員は多い。

 18歳選挙権が導入されて2年余り。選挙での10代の投票率からも一定の成果を感じている。導入当初の盛り上がりを今後につなげるためにも、政治に対する意識の高さを確かなものにする取り組みが求められる。

=調査方法= 佐賀県内の高校生全学年を対象に11月5~20日、佐賀新聞のウェブサイト「佐賀新聞LiVE(ライブ)」の特集ページ「18歳選挙権」からアクセスできる専用フォームを通じてアンケートを実施した。26校の4951人(男子2066人、女子2885人)が、学習用パソコンなどから回答した。

=調査協力校=(順不同)

 佐賀東、佐賀西、佐賀北、致遠館、唐津東、唐津西、鳥栖、武雄、鹿島、三養基、小城、厳木、白石、唐津南、伊万里農林、佐賀農、佐賀工、佐賀商、唐津商、鳥栖商、鹿島実、牛津、弘学館、早稲田佐賀、金立特別支援学校、うれしの特別支援学校

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