アゲマキの漁獲再開に向けて尽力した、佐賀県有明水産振興センターの佃政則係長(手前左)ら研究担当者。後方の水槽ではアゲマキの養殖が進められている=小城市

22年ぶりに漁が再開し、水揚げされたアゲマキ=6月、鹿島市浜町の佐賀県有明海漁協鹿島市支所

 佐賀県有明水産振興センター(小城市)が取り組んだアゲマキの資源回復に関する研究が、47都道府県の水産試験研究機関のトップらで組織する全国水産試験場長会で、最高賞の「会長賞」に輝いた。県内機関の最高賞受賞は初めて。有明海の干潟から一度は姿を消したアゲマキを、約20年にわたる地道な研究で復活させ、漁再開にまで導いたことが、同じ研究者たちから高い評価を得た。

 受賞した業績名は「アゲマキ漁獲再開に向けた20年の研究」。全国7ブロックで構成する「海面部会」の九州・山口ブロック代表に推薦され、全国の審査でも地域水産業の振興に貢献したとして高く評価された。

 有明海特産の二枚貝・アゲマキは1990年代初頭に原因不明のへい死が相次いで激減し、97年以降、漁獲が全くない状態が続いていた。センターは96年から再生に向けた取り組みを始め、今年6月、1カ月限定ではあるものの、鹿島市地先の一部漁場で22年ぶりの漁再開につなげた。

 この間、アゲマキ研究の主担当者は9人、携わった係員は合計31人に上る。浮遊幼生を泥に着底させたり、放流率を高めたり、稚貝の流出を防ぐための網をかぶせる対策を施したり…。各担当者がそれぞれの段階で直面した課題を一つずつクリアし、再生産のサイクルを確立させた。

 2015年度から研究に携わる佃政則係長(37)は「(研究の)メンバーには退職された方もいる。当時の報告書や研究論文を見ると、改めて積み重ねがあってこそと思うし、(受賞は)重い」と語る。

 今後は鹿島市周辺で天然の広がりを観察していくとともに、佐賀市や杵島郡白石町などでも母貝集団づくりを進める。資源管理の観点がより重要になるといい、廣田健一郎副所長(48)は「回復した資源を持続的に利用できるような提案を、漁師の方たちにしていかないといけない」と話す。

 6月の漁再開後には直売所に多くの人が行列をつくり、22年ぶりの“懐かしの味”を待ちわびた。その姿を見た佃係長は「技術者として結実した」と感慨に浸ったという。一方で、「まだ鹿島だけで、湾奥部全体に広げるための壁は高い。放流しなくても天然で取れるようにして、アゲマキが『特別』ではなく、『当たり前』のものにならないといけない」。研究のゴールはまだ先に見据えている。

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