真っ赤に色づいた「いちごさん」を収穫する生産者の平川乙次さん=15日朝、佐賀市三瀬村

 佐賀県産イチゴの20年ぶりの新品種「いちごさん」が15日、初出荷された。現在の主力「さがほのか」の後継品種で、甘さやみずみずしさに加え、鮮やかな赤と美しい形という特長も兼ね備えている。今年は猛暑や台風の影響が心配されたが、生育は順調といい、初日は124パック、33・5キロが佐賀市のJAさが直営店に並んだ。

 佐賀市三瀬村の標高約400メートルのハウスで栽培する平川乙次さん(71)は、他の地域より1カ月早い8月後半に定植を終え、一足早く収穫時期を迎えた。15日は午前5時ごろから作業を始め、計10アールのハウス内で赤く色づいた実を手で丁寧に摘み取った。妻の清美さん(67)が自宅隣の作業小屋で大きさや形をそろえてパックに詰め、「いちごさん」のロゴが書かれたセロハンをかぶせた。

 試験栽培期間を含めて生産3年目で、高い技術を持つ「i9マスター」に認定されている平川さんは「いいあんばいに育ち、他の品種には負けないイチゴができた。誇りと自信を持って消費者にお薦めしたい」と話した。

 初出荷分は佐賀市大財のJAさが直営「さが風土館季楽(きら)直販本店」で販売され、試食用としても振る舞われた。これから随時、他の生産者も収穫を始め、出荷量が増え次第、県内のスーパーや福岡の百貨店にも並ぶ予定。東京、大阪の大都市圏には12月上旬にデビューする。

 いちごさんは県とJAグループ佐賀、生産者が7年かけて約1万5千株の中から選抜した。さがほのかより収量が多い。全国の他品種との競争が激化し、生産者の高齢化も進む中、産地回復の起爆剤としての役割が期待されている。初年度は県内166戸の生産者がイチゴの栽培面積全体の1割強に当たる約18ヘクタールで栽培し、約900トンの生産量を見込む。

このエントリーをはてなブックマークに追加