旋盤一筋に47年間、技術を磨いてきた中島清文さん=佐賀市のミゾタ

「見る人が穏やかな気持ちになってもらえるような作品を作りたい」と語る庄村健さん=西松浦郡有田町の「晩香窯 庄健」

 卓越した技能者を厚生労働大臣が表彰する2018年度の「現代の名工」に、佐賀県内からはミゾタの旋盤工、中島清文さん(67)=小城市=と、ろくろ成形工、庄村健さん(69)=西松浦郡有田町=が選ばれた。専門分野の技術向上や業界の発展に貢献し、後進の育成に取り組む2人の業績と喜びの声を紹介する。

精密加工47年学び続け 旋盤工・小城市 中島清文さん(67) 

 揚排水ポンプや水門などの機械加工に、旋盤工として携わって47年になる。「長年の積み重ねが評価されて光栄」と、ものづくりにかける情熱が認められたことを喜ぶ。

 1971年にミゾタ(佐賀市)に入社し、旋盤工一筋に歩んできた。ステンレス材料が普及していない70年代から、精密に加工する技術を模索し「切削の方法を寝ずに勉強したこともある」と振り返る。

 こうして水門の開閉装置に使うステンレス製のねじも製作した。ため池や用水路に、水門の開閉装置が数多く設置されるきっかけになり、農業用水利事業や治水事業にも貢献した。

 会社の後輩への指導も熱心で「面白く、分かりやすく」をモットーに、ものづくりの楽しさを伝授している。「ものづくりの追求に必要なのは三つのM。それはマテリアル(材料)、マシーン(機械)、マン(人)」。これらが一体になり、新たな技術や製品の開発につながるように、さらなる高みを目指す。

探求心で「藍染」「紅染」 ろくろ成形工・有田町 庄村健さん(69)

 作陶への探究心は人一倍。白磁のみならず、研究を重ねた釉薬による「藍(あい)染(ぞめ)」「紅(べに)染(ぞめ)」で知られる。「これまでは自分の世界を追求してきたが、若い人に技術を継承する役割を担いなさいということでしょう」。名工の重みをかみしめる。

 修業は陶器から始めた。有田工高窯業科を卒業し、故丸田正美さんに1年間学んだ後、ろくろの人間国宝、井上萬二さんに6年間師事した。「陶器の手法で磁器の湯飲みを作ったら、全部壊された」と懐かしむ。

 数々の受賞歴を誇り、31歳で日本伝統工芸展の文部大臣賞に。白磁の大皿は、縁の端まで線状に彫った新しい発想が高く評価された。この賞を機に「自分にしかできないものを」との思いが高まり、生み出したのが「藍染」「紅染」だ。

 幻想的な淡い赤やピンクの「紅染」は、プロ野球広島の故衣笠祥雄さんの引退記念品制作を契機に生まれた。窯に飾る初代の大皿を象徴する色に通じると、後で気付いた。「同じ色合いにたどり着くとは」とほほ笑む。

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