歌川国芳「相馬の古内裏」(朝比奈文庫所蔵)

歌川国貞「大當狂言之内 極付幡随長兵衛」(朝比奈文庫所蔵)

葛飾北斎、喜多川歌麿ら代表絵師の作品120点が並ぶ=唐津市近代図書館美術ホール

 「百花繚乱(りょうらん) 浮世絵十人絵師展」と題した特別展が、唐津市近代図書館美術ホールで開かれている。浮世絵が多色摺(ず)りの木版画、いわゆる錦絵として大衆娯楽文化の地位を確立した江戸中期から幕末、中心的役割を担った絵師10人の多彩な作品120点を紹介する。

 自由に観光旅行に行くことは許されていなかった時代、名所旧跡を眺めて旅行を疑似体験した「名所絵」、人気歌舞伎役者らを描いた当時のブロマイド「役者絵」、吉原の遊女や茶屋の看板娘など男性が好んだ「美人画」。浮世絵は当時の風俗、世俗を映し出す。

 会場には「富嶽三十六景」の葛飾北斎、「東海道五十三次」の歌川広重、歌舞伎役者を得意とした東洲斎写楽ら、一度は教科書などで見たことがある作家の作品が並び、粋で艶っぽい江戸の空気が伝わってくる。

 中でも注目したいのは「戯画」に分類される歌川国芳。人間や猫をパズルのように集めて一つの形にする「寄せ絵」や、おどろおどろしい「怪談物」で人気を博した鬼才で、近年、海外でも「クニヨシ」として知られる。巨大なガイコツが迫る「相馬の古内裏」、寄せ絵の「人かたまって人になる」など14点は圧巻だ。

 唐津ゆかりの作品もある。歌川国貞「大當狂言之内(おおあたりきょうげんのうち) 極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」は、唐津出身の侠客を「鼻高幸四郎」と呼ばれた五代目松本幸四郎が扮(ふん)している。

 同館は秋に特別展を開いていて、アンケートで「浮世絵を見たい」という要望が多かった。松谷由香里学芸係長は「浮世絵は美術を金持ちだけでなく、大衆にも身近にした。昔の人たちも今と変わらない感情だったのが分かる」と話す。

 ▼12月9日まで。一般500円、高校生以下無料。学芸員によるギャラリートークが、11、23日、12月9日午後2時から行われ、同展を監修した中右瑛(なかうえい)さんが25日午後2時から記念講演する。問い合わせは同館、電話0955(72)3467。

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