福岡県は9日、五ケ山ダムの水没予定地内にある佐賀県指定天然記念物「小川内(おがわち)の杉」(吉野ケ里町小川内)の移動作業を行った。高さ24~39メートルの3本の幹が根元で癒着する樹齢700年以上のご神木を、油圧ジャッキで約10時間かけて元の位置から43メートル高い位置まで170メートル引き上げた。地元出身者や町の関係者は望郷の思いを胸に作業を見守った。

 巨木は根に付いた土ごと引き上げ、鋼製保護枠、架台などを合わせた重さは約560トン。斜面に敷かれたレールの上に乗せ、1分かけて50センチ動かすなど少しずつ、細心の注意を払い作業を進めた。

 神埼市脊振町の野中義次さん(82)は20歳まで近くに住んでおり、「子どもの時に3本の杉をくぐって遊んだ。針葉樹だから心配している。移植後に根付いてくれれば」。現在は福岡市に住む宗雲政之さん(70)は「ご神木近くでは祭りがあった。ワサビが自生し、サンショウウオが泳ぐほどきれいだった古里がなくなるのはさみしいが、シンボルを残してくれるのはありがたい」と作業を見つめていた。

 小川内の杉はこの後水平移動させ、5月中旬までに山祇(やまづみ)神社(2008年に移転済み)の横に移植する。

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