土屋貴哉さんと池田学さんの「誕生」=佐賀県立美術館

 池田学さんはただ上手なわけじゃない、独特な世界観も魅力。アートシーンを意識せずに「絵が好き」という思いを貫いていて、率直で裏表がない。

 「誕生」は絵と向き合った彼の時間が定着している。震災がきっかけだったと聞くが、完全な当事者でないからこそ生じる葛藤など、あえて整理しないままに描き始めたのだろう。画面の中に全てがあり、言葉を必要としない世界。昨年の「池田学展」とはまた違ったライティングで、神々しささえ感じる。

 葉山有樹さんの作品を展覧会で見るのは初めて。見てよかった、素晴らしい。奥の部屋では、ガラスの漏斗に「有為転変図」と私たちが映り込んでいる。外側にあるものが漏斗の内側に閉じ込められ、内と外が逆転している様が美しい。

 八谷和彦さんの根底にある「見てみたいからやってみる」純粋な動機と“メーヴェ”の制作を15年やり続ける根気は、池田さんとも通ずるものがある。いつか佐賀での飛行も見てみたい。今度の休日は、娘を連れてきたい。

 現代アートは「わからない」と敬遠されがちだが、わからないものこそ面白い。既存の価値観から逸脱した、新しい時代を作るものとの出合いには喜びがある。

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