『陶工柿右衛門』。大正から昭和の終戦まで、尋常小学校読本や尋常科修身編として使われた小学生国語教材である◆日本で初めて磁器の赤絵付けに成功した初代柿右衛門の物語。これが「教科書に載った柿右衛門」として今日まで語り継がれ、世界に知られる有田焼ブランドの代表として輝いている。誇り高い“金看板”だ◆窯場の庭の大きな柿の木。夕日に照らされた熟し柿を見て「あの柿の赤色を焼き物に!」と苦心さんたん。この成功物語が多くの子どもたちを感動させた。「教科書に載る」とはそれほど大変な名誉だが、精緻なペン画で世界的に評価の高い画家池田学さん(44)の「誕生」が来年春から高校生が使う教科書『高校生の美術3』(日本文教出版)の表紙に◆小さなペンで壮大な世界を描き出す池田さん。「誕生」は、東日本大震災を海外で知った池田さんが「未曽有の自然災害に対して自分は何ができるか」と自問しながら格闘。創作活動の拠点としている米国で“自然との共存”をテーマに3年がかりで仕上げた縦3メートル、横4メートルの巨大な作品◆県立美術館で開催中の三人展(来月18日まで)は陶芸家葉山有樹さん(57)、メディアアーティスト八谷和彦さん(52)、そして池田さんという県出身の気鋭の芸術家たちの競演。もちろん「誕生」もそこに展示されている。(賢)

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