文化審議会が国の重要文化財に指定するよう答申した旧田代家西洋館(有田異人館)=西松浦郡有田町幸平

県内14件目 有田の外国人宿泊用​

 国の文化審議会(佐藤信会長)は19日、西松浦郡有田町が所有し、「有田異人館」として佐賀県重要文化財に指定されている旧田代家西洋館を、国の重要文化財(建造物)に指定するように柴山昌彦文部科学相に答申した。県内の建造物の指定では、武雄市の「武雄温泉新館と楼門」に続き14件目になる。

国宝に琉球国王の陵墓

 旧田代家西洋館は日本の伝統技術で建てられた洋館で、国の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の内山地区にある。1876(明治9)年、有田焼の貿易商として活躍した田代紋左衛門の長男助作が、買い付けに訪れる外国人の宿泊や接待のため建築した。

 木造2階建てで桟瓦葺き、外壁は漆喰塗りになっている。正面に円柱を並べて1階はポーチ、2階にベランダを設けた洋風の外観で、内部も洋風の意匠を取り入れながら居室は畳敷きにするなど、明治初期の住宅系擬洋風建築の特徴を示す貴重な現存例という。文化審議会では「製磁業などで繁栄した近代初頭の有田における商取引の様相を知る上で、高い価値を有している」と評価された。

 田代家の子孫で、幼少期を西洋館で過ごした田代正敏さん(79)は「今年は県立九州陶磁文化館の展覧会でも、幕末明治期の田代家にスポットを当ててもらった。そうした中、今回の知らせに大変驚いたが、評価をしていただき、ありがたいこと」と喜んだ。

 2013年に田代家から寄贈を受けた町文化財課は「伝建地区の核となる施設で、町にとって名誉で喜ばしい。町並みの保存に取り組んできた方々に感謝したい」と話している。

 国宝には琉球王国の国王の陵墓「玉陵(たまうどぅん)」(那覇市)が答申された。琉球国王尚真王が1501年に築造。首里城の西に位置し、切り妻造りの屋根を持つ沖縄地方特有の「破風墓(はふばか)」で、現存する破風墓では最大・最古とされる。世界文化遺産「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」の構成資産の一つになっている。


 文化審議会の答申内容は次の通り。かっこ内は所在地。

【国宝の新指定】玉陵墓室など5棟(那覇市)

【重要文化財の新指定】旧相馬家住宅主屋など2棟(北海道函館市)▽大前神社本殿など2棟(栃木県真岡市)▽曹源寺栄螺堂(群馬県太田市)▽旧田中家住宅洋館など(埼玉県川口市)▽伊藤家住宅主屋など6棟(新潟県糸魚川市)▽武知家住宅主屋など12棟(徳島県石井町)▽有馬家霊屋梅林院霊屋など5棟(福岡県久留米市)▽旧田代家西洋館(西松浦郡有田町)

 重要文化財の追加指定】旧笹浪家住宅米蔵・文庫蔵(北海道上ノ国町)

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