20年ぶりとなる県産イチゴの新品種「佐賀i9号」。16日に正式名称が発表される(県提供)

定植を前に、苗の手入れをする森園文男さん(左)。「いちごさん」について「食べた人が笑顔になるほどおいしい」と語る=8月、みやき町

 佐賀県産イチゴの20年ぶりとなる新品種「佐賀i9号」の名称が16日、「いちごさん」と発表された。7年の歳月をかけ、約1万5千株の中から選び抜かれた「奇跡の一株」が門出を迎え、開発に携わった関係者や生産者は感慨に浸った。

 「最初は本当に選べるのか半信半疑だった」。JAさが園芸部園芸振興課長の伊東克明さん(45)は振り返る。鹿島支所勤務だった2010年のプロジェクトスタート時から担当。番号が付けられた試験株を、3年間で5千株ずつチェックする気の遠くなるような作業だった。

 「変な形だったり、大きすぎたり、見た目が良くても味が伴っていなかったり…」。大半は商品になり得ないものばかり。そんな中、「確か最初は30何番とかいう名前だった」という一株の、味や香りに光るものを感じた。

 選抜の段階で最終候補から外されそうになると、イチゴ農家の実家のハウスを使って試験栽培を買って出た。2年間の試験を経て品質や収量が評価された株は、昨年6月の県いちご部会で最後の一株に残った。

 初出荷まで1カ月余り。伊東さんは「品種の能力を最大限に発揮すればナンバーワンになれる」と自信を見せる。一方で、「本当にドキドキしている。『箱入り娘』を出すような感じ」と“親心”ものぞかせる。

 JAさが東部地区いちご部会の部会長で、先進的な栽培農家「i9マスター」の森園文男さん(62)=みやき町=は「最初は『えっ』となったが、30分くらいたっていい名前だと思った」。ブランド発表会で、斬新なネーミングへの感想を率直に語った。

 脱サラしてイチゴ農家になり29年目。「食べた農家が笑顔になるほどおいしい」という新品種の魅力にほれ込み、23アールすべてを「さがほのか」から切り替えた。猛暑や台風の影響が心配されたが、水管理に気を配り、苗は順調に生育しているという。「今年が一番大切な年。成功させないといけない」。全国のトップブランドという目標の実現へ、改めて気を引き締めた。

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