上告理由などを記者会見で説明する漁業者の弁護団=福岡市

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の訴訟を巡り、開門を求める漁業者の弁護団は15日までに、開門命令の確定判決に基づく間接強制金を強制しないよう求める国の主張を認めた二審福岡高裁判決に対する上告理由書を最高裁に提出した。10年の期限が経過して漁業権が消滅したとする高裁の判断に対し「漁業者が漁業を営む上で、不当に不安な地位に置く漁業法の解釈は違憲」などと指摘している。

 漁業者側は上告理由で、漁業権の消滅に伴って漁業者の開門請求権が制限される不利益に対し、国が補償していないのは憲法に反すると主張した。行政が海域を開発する際、漁業権の期限経過後に免許を与えなければ、漁業者への補償をしないまま事業を進めることができる可能性も示し、「免許付与者が漁業権の『生殺与奪』権を握ることになり、生存権や財産権が侵害される」と訴えている。

 会見で弁護団の堀良一事務局長は「高裁の判決は漁業法の歴史的経緯や漁業の実態と乖離(かいり)していて、ご都合主義、結論ありきの不当判決であることを上告理由で指摘した」と述べた。

 国が強制執行を免れるために起こした請求異議訴訟で、福岡高裁は7月30日の判決で「漁業権は消滅し、(漁業者の)開門請求権も消滅した」と結論付けた。これを受けて、開門を命じた2010年12月の福岡高裁確定判決は事実上無効になった。

このエントリーをはてなブックマークに追加