「婚活セクハラ・パワハラ」の具体例

 佐賀県が作成した「婚センサスBOOK」

 生涯未婚率が上昇する中、結婚のきっかけは「職場での出会い」が今も上位を占める。だが価値観は多様化し、上司らが独身社員の縁結びをしようとすると、セクハラと受け取られることも。二の足を踏む企業のために、注意点をまとめたマニュアルを作成する自治体も出始めた。

 「昔のように職場に『おせっかいさん』がいてくれたら…」。静岡県に住む女性(36)は、5年以上恋人がおらず、お見合いなどの婚活を続けている。勤務する自動車メーカーの系列会社には独身の男性が多いが接点はない。数年前、意を決して上司に紹介を頼むと「下手に口を挟んで、セクハラになったら面倒だから」と断られた。

 女性も婚活の状況を詮索されたり、周囲に言いふらされたりするのには抵抗感がある。「社員の出会いをさりげなく後押ししてほしい」

▽縁結び二の足

 国立社会保障・人口問題研究所の2015年の調査によると、夫婦が出会ったきっかけは、第三者の仲介によるお見合いが6・5%で、約30年前に比べ4分の1に激減。一方、職場や仕事での出会いは28・1%とほぼ横ばいで推移し、友人や兄弟姉妹の紹介(30・9%)に次いで多かった。

 しかし企業には慎重姿勢が目立つ。関西にある保険会社の人事担当者の元には時折、独身の社員から「出会いのために社内行事を開催してほしい」との声が寄せられるが、「ハラスメントと受け取られる恐れがあり、会社として取り組むのは難しい」と打ち明ける。

 政府は少子化対策の一環として16年、結婚支援に積極的な企業に対する表彰制度の創設や、既婚の上司らが独身社員の結婚を支援する「婚活メンター」の導入を打ち出した。しかし「国による価値観の押しつけ」「官製セクハラ」とインターネットなどで“炎上”し、撤回に追い込まれた。

▽出会い応援へ

 内閣府が昨年12月にまとめた企業や団体、自治体向けの参考指針は「特定の価値観を押しつけない」「個人の意思を尊重する」「多様性に配慮する」といった注意喚起に終始。内閣府幹部は「内容よりも、セクハラと騒がれないことが最優先だった」と漏らす。

 こうした中、佐賀県は昨年11月、自治体で初めて、企業が社員の結婚を応援する際の注意点や対応例をまとめたマニュアル「婚センサスBOOK」を独自に作成した。

 セクハラやパワハラの可能性がある事例として、(1)嫌がるのに「結婚する気はないの?」「恋人はいないの?」と聞く(2)「もう○歳なのに結婚しないのはおかしい」と決めつける(3)婚活イベントへの参加を強要(4)婚活の状況を言いふらす―などを紹介。県の担当者は「企業が安心して社員の出会いを応援できるように作成した」と話す。【共同】

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