開館5年を迎えた佐賀大学美術館。「総合大学ならでは」の取り組みの模索が続く=佐賀市本庄町

 佐賀大学美術館(佐賀市本庄町)が10月1日で開館から5周年を迎えた。これまでに119回の展覧会を開き、約19万人が来館した。経営面では苦戦が続き、運営費に充てる予定だった寄付は、目標にした6億円の4割弱の2億3千万円にとどまり、公募した施設命名権にも応募はない。当初、無料だった使用料を有料にするなど、厳しいやり繰りが続いている。

 美術館は2013年10月2日、本庄キャンパス北側に開館した。鉄筋2階建てで展示スペースは582平方メートル。美術館は紫外線を嫌うが、吹き抜けの全面ガラス張りで光を採り入れる構造を採用し、注目された。

 来館者は最も多かった14年度で約4万人。デッサンの様子も公開する展覧や、アートと医学にまたがる領域を取り上げた展示など「総合大学ならではの企画」で持ち味を出してきた。ただ、17年度は3万4千人、本年度は半期で1万1千人と減少傾向にあり、カフェも8月末で閉店した。

 教員の一人は「開館当初は企画も充実していたが、厳しい予算の影響もあり、魅力あるものが減ってきた」と話す。企画を担う学芸員は初年度に常勤を含めて5人いた。現在は非常勤の3人になった。美術館外部評価委員の一人はそのことに触れ「企画はせめて3年計画で取り組むべきで、他の美術館と連携が取れる常勤職員が必要」と指摘する。

 当初は年間の予算額を約2千万円とし、半分を美術館運営交付金、残りを寄付金で賄う計画だった。しかし、開館の翌年度から寄付が伸び悩む。収入源の一つとして、施設命名権も「年間2千万円、契約5年以上」で募集したが、応募、問い合わせともにゼロ。15年度からは運営費を全額、学内予算から捻出する仕組みに変更し、年間予算額も1700万円に圧縮した。

 学外からの利用者には無料としていた使用料も15年度から徴収している。本年度は1日1部屋3千円だが、年間収入は100万円に満たず、今後は値上げする方向で検討中という。

 6月に自主企画展を開いた芸術地域デザイン学部3年の石丸圭汰さん(21)は「立派な施設があるのに(学生の利用が少なく)もったいない」と、学生自身が深く関わる形を模索する。

 後藤昌昭館長は「寄付集めは大きな課題。広く浅く、継続的にお願いすることを目指していく」と話す。展示については「これまで以上に他学部とつながる企画を活性化したい。進展が著しい美術・芸術の新たな表現方法を取り入れた試作を発表する場にするなど、常に挑戦する美術館として歩みたい」としている。

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