予算流用について議会に説明せず、議会運営に混乱を招いたとして陳謝する秀島市長(左から2人目)と畑瀬副市長(左端)=佐賀市役所

 佐賀市が旧富士小学校の体育館を議会に無断で改修していた問題で、佐賀市の秀島敏行市長は5日、計画を主導した畑瀬信芳副市長ら関係者を処分する方針を発表した。秀島市長は謝罪会見を開き「議会、市民の信頼を著しく損なう事態になった」と陳謝し、今回の経緯を検証した上で「厳しく対処したい」と、12月議会にも自らを含めた処分を提案する考えを示した。

 これに先立ち、市議会は本会議で、体育館の改修費を支出した2017年度決算を全会一致で「不認定」と決めた。付託を受けて審議した総務委員会の山下伸二委員長が「3100万円という多額の費用にもかかわらず一切、説明がなかった。その上、質問に対する明確な答弁が得られない。短期間に事務作業を進め、起案や契約に不備がある」と問題点を挙げて、不認定とすべきと報告した。

 既に支出した決算が認められないのは極めて異例で、現在の佐賀市が発足してからは初めてとなる。体育館改修を巡っては、今年3月までに別の予算を流用し、約3100万円をかけてバスケットボール仕様に改修していた。4月からプロを目指すバスケットボールの社会人チームが練習場として使用している。

 不認定を受けて、秀島市長と畑瀬副市長は会見で、これまでの経緯などを説明した。畑瀬氏は「プロチームが本拠地とするのは佐賀市のためにも富士町にも希望が持てると判断した。職員にプレッシャーをかけ、無理をさせてしまった」と頭を下げた。自身の長男がチーム運営会社の関連企業に今年7月に入社しており、チームの手伝いをしていたことについては「人手が足りず、応援で派遣されたと聞いている。今回の件とは関係がないが、不信感を抱かせてしまった」と重ねて謝罪した。

市長ら8人議会に陳謝

 佐賀市の2017年度決算が全会一致で不認定となった5日、秀島敏行市長と畑瀬信芳副市長、関係した職員の計8人が市議会全員協議会で「議会運営に多大な混乱を招く事態となり、誠に申し訳ありませんでした」と陳謝した。

 不認定が決まった後に始まった全員協議会。改修を主導した畑瀬副市長は、最前列の幹部席に誰よりも早く座り、沈痛な表情で開会を待った。会議冒頭には市長と2人の副市長、職員がおわびの言葉とともに、深々と頭を下げた。

 「いろいろと根深いものがあると思う」。協議会後に秀島市長と畑瀬副市長の2人が臨んだ記者会見で、再発防止策の発表時期を問われた市長は、神妙な面持ちで述べた。4期目の長期にわたる市政運営のひずみを指摘されると、「そこを心配している。職員が意見を言える職場をつくらないといけない」と話した。

 畑瀬副市長は、一連の問題の原因は3月までに整備するように指示した自身にあるとの認識を示した。秀島市長は「処分でお茶を濁すことはない」と述べ、原因を整理した後、自身を含めて関係者を厳しく処分する考えを明らかにした。

議員「疑念払拭できぬ」

 前年度決算を不認定とした佐賀市議会の武藤恭博議長は5日に会見を開き、「事業自体は山間地でもあり、活性化を図る目的は理解できる」としつつ、「3100万円という大きな予算なら当然、議会に言ってもらわなければ。市民も理解できない」と批判した。

 今後の市の対応を「再発防止を含めて、市長がどう答えを出すのか」と見守る一方で、議会としても「総務委員会で引き続き調査をしてもらいたいという気持ちがある」と原因究明に取り組む考えを示した。

 この日の本会議では、党派が異なる議員3人が反対討論を行い、起立採決では全員が座ったまま「不認定」の意志を示した。

 最大会派自民市政会の久米勝博議員は「不可解な緊急性で、正規の手続きが取られていない。整備の根拠に納得のいく説明が見つからない。当初より、何らかの意図があったのではないかという疑念は払(ふっ)拭(しょく)できない」と厳しく断じた。

 1人会派「市民共同」の山下明子議員も「何度も報告や説明の機会がありながら怠り、議会の信頼を失わせた。プロチームの支援は本来、前向きな内容なのに、そこに水を差した」と指摘した。

<一問一答>副市長「辞職の考えない」

 秀島敏行市長と畑瀬信芳副市長の5日の記者会見での主な質疑は次の通り。

 ―再発防止策の発表と関係者処分の時期は。

 秀島氏 きちんと整理し、分かりやすい形で説明していきたい。いろいろ根深いものがあると思う。12月議会までには整理したい。

 ―副市長は当時総務部長で経験もある。なぜ今回のような手続きをしたのか。

 畑瀬氏 急いだ理由は、プロバスケットボールチームが4月上旬に発足するということだった。練習場がないと困るだろうと思ったのが動機だった。

 ―議会に説明をしなかったことが、便宜を図ったという疑念を生んだ。

 畑瀬氏 本当に残念だ。隠していたわけではない。少なくとも今回の決算で数字を出せば、このような事態にならなかった。

 ―残念というのは職員に対してか。職員がプレッシャーを感じたから決算で説明しなかったのでは。

 畑瀬氏 決算の何を説明するかは課長の判断だ。本来は説明すべきだった。私は所管する副市長ではないので、職員に命令はできない。

 ―チームの運営会社で副市長の息子が働いていることとの事実関係は。

 畑瀬氏 息子が今年7月にこの社長の関連会社に入っている。チームにも関わっている。

 ―今回の流れを見ると、疑念を抱かれると思うが。

 秀島氏 疑わしい要素が備わっているのは事実。ただし、時系列的に見ても、利益誘導につながっているとは思っていない。

 ―辞職の考えはあるか。

 畑瀬氏 自ら職を辞する考えはない。

このエントリーをはてなブックマークに追加