最近ある月刊誌が休刊になりました。LGBTに対する某国会議員の寄稿が波紋を呼び、雑誌側がこの批判に応戦する内容の特集を組んでさらなる批判を呼んだための措置のようです。言論の自由という観点からは休刊は大変残念なことなのですが、少なくとも内容についてあまり論理的ではなく、寄稿者の誤解も多いようでした。

 LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字をとった略語です。LGBが性的指向を示すのに対し、トランスジェンダーは体の性と心の性が異なる状態です。「人」を、その人の性別と性的指向で分類すると、圧倒的に多いのは体の性と心の性が一致し、性的指向は異性である、という人です。しかし、日本では7~8%がこれに一致しないとされ、それらの人々の人権を守り、多様性を尊重し、LGBTであるがゆえに受ける社会的不利益を小さくしていこうという方針は、日本のみならず世界各国でも唱えられているのです。

 また、LGBTという言葉や分類自体が、当事者たちの困惑を生んでいるという事実もあるようです。例えば医学的には、体の性として、男性、女性の2つに分類されないあいまいな性を持っている人もいます。いわゆる遺伝子異常などの障がいを伴っている人もいますが、中には日常生活を送る上でことさらに問題がないように見えるけれども男性女性にあてはまらない、という人もいるのです。このような人は、どちらの性として生きるのかを生後比較的早期に決め、社会に適合できるように体や環境を整えていくことが多いのですが、成長が進むにつれてさまざまな問題が起きていくことはみなさんにも想像していただけるのではないかと思います。

 LGBTについては、生物学的な事項のみに注目してもこのように多様な問題があります。性的指向はさらに複雑です。理解するには頭をものすごく柔らかくする必要があるのです。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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