今や「国民病」と言われる花粉症。日本人の4人に1人がスギやヒノキによる花粉症で、一度発症すると約95%の人が毎年悩まされているようです。2歳の幼児が発症する場合がある一方で、80歳になって突然発症するケースも珍しくありません。これまでの診療は、花粉の飛散後に症状を抑える服薬治療が一般的でしたが、近年、花粉の飛散時期の数カ月前に「備えの治療」として効果が期待できる治療も出てきました。鼻粘膜レーザー治療もその一つです。理論と効果について、くさの耳鼻咽喉科(武雄市)の草野謙一郎理事長に聞きました。

鼻粘膜レーザー治療で花粉症状を手早く抑制

手軽にできて7~8割が効果を実感

 

 アレルギーによる鼻の三大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。鼻粘膜レーザー治療は、特に鼻づまり症状を和らげる効果が期待でき、治療を受けた70~80%の人が効果を感じていらっしゃいます。花粉症の薬が効きにくい人や薬で眠気が出る人、鼻づまりがひどい人、受診回数を減らしたい人に向いていて、授乳中の人も受けられます。子どもの場合、10歳ごろから受けることができます。また、後述する舌下免疫療法に比べ、早く効果が表れるのも特長。手早く症状を抑えたい人の需要は年々高まっています。
 アレルギー性鼻炎は、鼻の中の「下甲介」という粘膜で起こり、粘膜が腫れると空気の通り道が狭まって鼻づまりの原因になるのです。鼻粘膜レーザー治療は、この部分にレーザーを照射し、粘膜を薄く焦がすような治療で、下甲介粘膜の上皮を硬く強くします。腫れが引くと引き締まった上皮に変わるため、空間が広がり鼻の通りが良くなって、症状が軽くなります。


痛み出血なく手術時間は約10分

 当院の治療は、まず薬液に浸したガーゼを約15分鼻に入れて表面麻酔を行います。注射は一切ありません。その後レーザーで粘膜を薄く焦がします。痛みや出血はほとんどなく、所要時間は約10分です。鼻の中の形は個人差がありますから、中を直視できない人の場合は、内視鏡で確認しながら確実に行います。
 術後すぐは、薄く焦がした場所にかさぶたができ、少し鼻が詰まったような感じがありますが、徐々に改善していきます。約1~2週間後の経過診療で、きれいにかさぶたが取れていることが確認できたら治療は完了。効果には個人差がありますが、1シーズン持続する人がほとんどです。

レーザー治療は花粉飛散前の1月までに

 花粉症治療は保険適用される療法の選択肢が増えており、鼻粘膜レーザー治療もその一つです。両鼻約9千円で治療を受けることができます。佐賀県の花粉飛散開始時期は、この10年の平均で2月10日ごろ。花粉が飛び始めて治療をしても花粉症の症状と重なったり、レーザーが粘膜まで到達しなかったりして、効果は期待できません。治療は、花粉が飛ぶ前の10~1月までに行えば、効果が期待できます。予約受け付けは12月末までですので早めに受診しましょう。
 ただ、注意しなければいけないのは、鼻粘膜レーザー治療は症状を緩和する治療であり、完治は望めないということ。1シーズン効果を感じたら、また次のシーズンの前に治療を受けるというように、繰り返して行う治療なのです。

完治を目指すならじっくり舌下免疫療法

 スギによる花粉症の症状が出なくなる完治を求める人には舌下免疫療法を勧めています。この治療法は、アレルギーを引き起こす原因物質のスギの液体エキス「シダトレン治療薬」を少しずつ舌下から体内に吸収させ、徐々に量を増やすことで体をアレルギーの原因物質に慣れさせようとするものです。これも保険適用の診療で、治療期間は3~5年かかりますが、2~3カ月で効果を感じる人もいます。治療を受けた約20%の人が完治し、約60%の人の症状が軽くなります。花粉が飛散する前に行う治療で、当院では毎年11月末まで受けられます。
 花粉症の治療はさまざまで、一人一人に合った方法を選べる時代になりました。事前の備えができるこれからの時期に、自分に合った治療を考えてみませんか。

【MEMO】

■電話予約システムで待ち時間なし

 当院では、インターネットと電話ガイダンスによる新しい予約システム「チェックオン」を導入しています。自宅の固定電話から予約でき、早朝から病院で受け付け待ちをする必要もありません。受付時間は午前の予約7;00~12:00、午後の予約12:30~17:30です。また、鼻粘膜レーザー治療を当院で以前受けられた方は、インターネットを使って手術の日時を予約することもできます。


医療法人ファースト くさの耳鼻咽喉科 理事長

草野 謙一郎

 

くさの けんいちろう 1999年、佐賀医科大学医学部卒業後、同大学医学部耳鼻咽喉科に入局。2004年、佐賀大学大学院医学系研究科博士課程(早期修了)。佐賀県立病院好生館(現・佐賀県医療センター好生館)耳鼻咽喉科、大町町立病院をはじめ佐賀市や多久市、伊万里市、鹿島市、藤津郡などで非常勤医師として勤務。2010年5月、武雄市に「くさの耳鼻咽喉科」を開院。

 
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