「佐賀さいこう! 企画甲子園」の出場者ら

 佐賀の魅力は何か-。高校生が県の魅力を生かそうとアイデアを競う「佐賀さいこう! 高校生企画甲子園」が先月、佐賀市の佐賀城本丸歴史館で開かれた。書類選考や二次選考を経て本選に臨んだ8チーム31人が、自然や農産物、歴史など若者の視点で練り上げた企画を発表した。各チームの発表や講評の内容を紹介する。

 

電通の倉成英俊さん(佐賀市出身)

 高校生企画甲子園は、県が企画し、昨年に続き2回目。県内から30チーム113人の応募があった。出場者は、電通の倉成英俊さんや音響・映像ソフトウェア開発会社「アールテクニカ」代表取締役の古瀬学さんなど審査員の前で発表。オランダに招待される最優秀企画賞には唐津市の虹の松原に着目した企画を発表した唐津南高2年生2人が輝き、泣いて喜んだ。

アールテクニカ代表・古瀬学さん(佐賀市出身)

 会場は、メガホンでの応援やウグイス嬢の場内アナウンスを模した出場校紹介など甲子園の雰囲気を演出。表彰式で倉成さんは「上位のチームは僅差で、審査員が違ったら結果は変わっていたかもしれない。でも僅差は実力」と講評し、「企画とは『いいことを思いつくこと』。思いつくだけじゃなく伝える勇気が必要で、勇気を乗り越えて提案したのはすごくいい経験になったと思う」と話した。

 

【最優秀企画賞】虹ノ松原松露プロジェクトB班(唐津南高校)

松ぼっくりで保全活動PR

最優秀企画賞に輝いた唐津南高校の生徒たち=佐賀市の佐賀城本丸歴史館

 メンバー2人は、400年の歴史がある日本三大松原の一つ「虹の松原」(唐津市)に注目した。NPO法人が取り組む地域住民との清掃活動に参加し、人手が足りず放置されている現状を知った。
 そこで、問題を周知し、きれいな景観を後世に残したいと、清掃活動で出た松ぼっくりを有効活用したポプリ作りを企画。ポプリ作りで得た収益は保全活動などに活用するという。フローラルの香りを付けた松ぼっくりポプリのワークショップを実際に開き、そこで出た課題や観光客に実施した香りや価格についてのアンケートの集計結果から、今後の事業計画や価格設定など実現性の高さを伺わせた。

◆審査員の講評
 倉成「(現物に)見入っているということはそれだけ引きがあるから。名前も企画もいい。香りも(県ならではの)文化ができると思うので、(佐賀らしい)香りで攻めるのも面白い」
 古瀬「(企画が)出来上がっている。人手が足りなくて放置され、うっそうとなっているという問題点に着目したのはいい」

◆受賞者のコメント
 大河内美月さん(16)「賞をもらえて本当にうれしいの一言しかない。虹の松原に来てもらい、現状を知ってもらって保全活動をもっと広めていきたい」
 桑野あみさん(16)「夜遅くまで作業をしていた日もあり、応援してくれた母や祖母に(受賞の)報告と感謝の気持ちを伝えたい。これからも保全活動を広げていきたい」

 
虹の松原の松ぼっくりを活用したポプリ。瓶には砂浜の砂や貝殻も詰めた

【優秀企画賞】青(佐賀西高)

佐賀の空を主体的に楽しむ

佐賀の空に着目し、優秀企画賞を受賞した佐賀西高校の生徒たち

 広く大きな佐賀の空を主体的に楽しんでほしいと空を活用したイベントの企画を発表した。
 すでに空を使っている「バルーンフェスタ」は「地上からしか楽しめないのが残念」と指摘し、「スカイダイビング」を考案。中でも、特別な資格は必要とせずインストラクターと2人重なって一緒に飛ぶ「タンデムスカイダイビング」を提案した。バルーンフェスタ開催期間に実施して知名度を上げ、定着すれば他の時期にも開くよう計画した。
 県内に本格的なスカイダイビングスポットが実現すれば九州初となり、「九州や山口県、海外からの観光客にも気軽に楽しめる。最高の思い出を届けましょう」と締めくくった。

◆審査員の講評
 倉成「純粋に企画としていいなと思った。実現するための法律やお金が気になった」
 古瀬「(佐賀の空は)広いだけじゃなく高いと思う。空も地域資源でそこに目をつけたのはすごくポイント高い」

 

「ハンギーまつり」集客目指す ピヨこん娘(神埼清明高)

 ピヨこん娘のメンバーは神埼市千代田町で行われる「城原川ハンギーまつり」の集客について企画。参加者を増やすために3つ提案した。直径約10センチの紙製のハンギーに好きな絵を描いてもらうコンテストを開いたり、ユーチューバーを招いて若者を対象に情報発信を図ったり、神埼駅や佐賀駅から送迎バスを出す案を打ち出した。

◆審査員の講評
 倉成「周辺の企画が多いけれど、水にぬれる所も面白いのであればそこをアピールしたり、賞金2万円を何とか20万円にすれば人が来たり。そもそもがユニークなお祭りだから、ど真ん中のハンギー自体がどうやったらよくなるかなと気になった」
 古瀬「お祭りを盛り上げる必要はあるのか。ハンギーを実際に乗れることが最高のインセンティブ。そこにフォーカスして企画したらいい」


薫製で農作物の問題解決 ダイニング佐賀(佐賀農業高)

 ダイニング佐賀のメンバーは「薫製」をキーワードに企画。イノシシの農作物への被害に対して、イノシシ肉を桜の木のチップで薫製にし、さが桜マラソンの会場で土産品として提供するよう提案した。
 さらに、農作物の廃棄を薫製で解決しようと提言。県内の農作物が規格外で廃棄されるものの中で一番多いのはアスパラガスだという。アスパラガスを薫製にすれば「保存が利き、作る料理の幅も広がる」と訴え、「困ったをプラスにするような新たな商品を考え、佐賀を元気にしたい」と呼び掛けた。

◆審査員の講評
 倉成「困ったを助けるというコピーが面白かった。佐賀だからできる食材の付加価値を付けるといい」
 古瀬「廃棄物を使って薫製を作るというのは現実的だった。薫製はどこの県もできるので、佐賀での薫製をもう少し打ち出せたらよかった」


県産大豆を世界に HADNALL(佐賀農業高)

 高校の授業で県産大豆の生産量は全国4位(28年度)と知ったHADNALLのメンバーは大豆の可能性に着目した。特に注目したのは、米の減反政策として生産されるようになった大豆を使い開発された「しろいしてんぺ」。大豆をこうじの一種「テンペ菌」で発酵させたもので、生活習慣予防やダイエットに効果的だという。
 てんぺを使って試作したハンバーグやお好み焼きなどは「B級グルメになる」とアピール。「今後もてんぺや県産大豆を使った新製品やB級グルメを開発し、広く県産大豆を世界にPRしていきたい」と力強く語った。

◆審査員の講評
 倉成「てんぺはすごくニッチなものでマイナー。昔はマイナーだったものが人気になることもあるのでポテンシャルにかけたい」
 古瀬「てんぺのことを初めて知って面白かった。企画甲子園という枠を超えて、大豆やてんぺを広めていくというポテンシャルを感じた。ちゃんとした商品は作れると思った」


「維新博」を終わらせない 佐賀の力 ~みんなの力を1つに~(佐賀星生学園)

 明治維新150年を記念して展開している肥前さが幕末維新博覧会。2019年1月に終わってしまうことを受け、「幕末期の佐賀藩の偉業をアピールできていたのにもったいない」という思いから歴史に注目した。
 「佐賀=歴史的に重要な県」とアピールできるように七賢人のゆかりの地を巡るバスツアーを企画。人を呼び込むために、昼食に幕末当時を再現したメニューの提供や、七賢人を支えた女性たちに焦点をあてた企画展開など2つのプランを提案した。

◆審査員の講評
 倉成「タイトルがコンセプトになっているし、そうしてほしいと県民が共感できるのですばらしい。ツアー自体もくだらない場所を巡るとか、県ができないようなことができたら面白い」
 古瀬「(終わらせず)10年先の行動につながる提案になればいいと思った。幕末期の料理も面白いので、佐賀の定食屋の料理として残っているとか10年先も残すにはどうすべきか、そういう提案があったらさらにおもしろい」


「さがんルビー」で美肌 チームルビア(致遠館高)

 佐賀大学で研究され、全国で初めて品種登録された国産のグレープフルーツ「さがんルビー」に焦点をあてた。さがんルビーの美容成分に着目し、美容に特化したツアーを企画。東京や大阪など大都市の女性をターゲットに、嬉野温泉にさがんルビーを入れた「さがんルビー風呂」やジェラート、オイルマッサージを提案した。
 さらに、県内でも知らない人が多く、知名度を上げるためにPRキャラクターの作製や大都市での入浴剤のサンプル配布なども考案。「佐賀の新しい特産品としての知名度を上昇させ、ツアーを通して美肌になれる県として有名になれることを期待する」と訴えた。

◆審査員の講評
 倉成「グレープフルーツを売りたいのか、美肌を売りたいのか、2つのことを実現しようとすると複雑になるからバランスが悩ましい」
 古瀬「個々のアイデアは良くて今からでもやれる。しかし、ツアーを組むより県内の女性にやって喜んでもらうほうが早いのでは。県内にあるという状態を短期間に徹底的にやるほうがいい」
 

シュガーロード全国に発信 しゅがーる(佐賀農業高)

 シュガーロードの宿場町だった江北町の織田宿を盛り上げようと高校生カフェを運営している「しゅがーる」のメンバーたち。シュガーロードを全国に発信するために、シュガーロードマップやPR動画の制作、旧長崎街道沿いにあるスイーツ店を巡るスタンプラリーの開催などを提案した。
 さらに、シュガーロードの新たな楽しみ方としてオルレや全国スイーツ甲子園なども考案。オルレコースは基山町から吉野ヶ里町、伊万里市、嬉野市、太良町など、1日10キロ歩いて2週間かけて巡るコースで、審査員や観客たちを驚かせた。

◆審査員の講評
 倉成「シュガーロードが活用されていないのは僕も思う。オルレツアーもスイーツ甲子園も他にしていて、一歩どう抜け出すか作戦があればよかった」
 古瀬「何とかしたいのは分かったが、シュガーロードが外に出していける地域資源としてパワーがあるのか掘り下げてほしかった。2週間かけるオルレはみんな『無理じゃん』と笑ったが、そういうところに勝機がある」

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