黒田チカと市村清の関係とそれぞれの功績にを考えたシンポジウム=佐賀市の佐賀商工ビル

 女性化学者の先駆者として知られる黒田チカ(1884~1968)をテーマにしたシンポジウムが16日、佐賀市で開かれた。研究者らが黒田とリコー創業者市村清(1900~1968)との接点に触れながら、佐賀出身の2人が学術と実業の世界に残した功績を紹介した。

 黒田の実兄で佐星醤油の当主だった吉村吉郎によって、2人の縁はつながる。吉村は佐賀で保険会社の代理店を営み、黒田が理化学研究所の研究員だったことから理研の感光紙の代理店も兼務していた。1927(昭和2)年の金融恐慌後、佐賀で同じ保険会社の外交員をしていた市村は、吉村から感光紙の九州総代理店の権利を譲り受けて福岡市で開業した。

 シンポでは佐賀大学元教員研究者の堀勇治さんが、紫根や紅花などの天然色素の構造を研究した化学者としての実績を挙げ、「チカ先生が頑張って開いた道が、現代の有機化学につながっている。佐賀の人は先生の業績をもっと知り、誇りにしてほしい」と話した。

 佐賀大学経済学部の山本長次教授は、リコーや三愛など市村が多くの企業を経営するだけでなく、市村記念体育館(佐賀市)の寄贈など地域貢献にも積極的だったと紹介。「市村と黒田が直接会ったかどうかは確認できないが、吉村と出会っていなければリコーにはたどりつけなかった」と市村にとって重要なステップだったと指摘した。

 シンポはNPO法人みなくるSAGAが主催し、約120人が来場した。

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