唐津藩士が参加した箱館新選組をテーマに開かれたトークショー=唐津市相知町の交流文化センター

古賀茂作さん

土方愛さん

ミサイルマン・岩部彰さん

辻千恵さん

トークショーで新選組について語り合うミサイルマン岩部彰(右)と土方恵さん=唐津市相知町の交流文化センター

 唐津藩士24人が加わった箱館新選組をテーマにしたトークショーが8日、唐津市相知町の交流文化センターで開かれた。新選撰組副長・土方歳三の子孫で土方歳三資料館(東京都)館長の土方愛さんが歳三の歩みと人となりについて、新選組研究家の古賀茂作さんが唐津藩士で歳三の右腕となった大野右仲(うちゅう)について講演した。相知町出身のモデル辻千恵さんやお笑い芸人ミサイルマン岩部彰さんを加え、パネル討議も行った。

「人が集まる」歳三の人柄

土方愛さん(土方歳三資料館館長)

 土方歳三は石田村(東京都日野市)に生まれた。地域は天領だったこともあり、何かあれば幕府に尽くすという土地柄。歳三の姿勢にも影響を与えていった。

 歳三の人生は、古里で過ごした「多摩期」、新選組ナンバー2として活躍した「鬼の副長期」、戊辰戦争を旧幕府と共に戦った「北への転戦期」の三つに分けられる。

 「転戦期」では、京都府の鳥羽伏見の戦いから栃木県、福島県へ向かい、北海道に渡った。最後の箱館戦争では、函館新選組に加入した唐津藩士と共に戦っている。特に大野右仲は、歳三の最期の言葉を聞いた人。もし過去に戻れるなら、一番会いたい人だ。

 歳三の人柄については、新選組隊士の中島登が「人が集まってくる様子は母を慕うよう」と評している。海軍副総裁を務めた榎本武揚は「清らかな風が起こるようなさわやかな人物だった」という意味の書を記した。厳しい印象がある歳三だが、こういう記述があるのは子孫の私としても救われる。

 最後まで幕府への忠誠心を貫いた小笠原長行と唐津藩士は本当に立派。激動の幕末・維新を唐津という場所は乗り越えてきた。

箱館戦争を交代で指揮

古賀茂作さん(新選組研究家)

 大野右仲は唐津藩主小笠原家の長男で幕府老中として活躍した小笠原長行と親しかった。長行が大野の父から指導を受けていたためで、2人も師弟という間柄だった。

 長行は戊辰戦争で旧幕府軍に従軍。大野ら唐津藩士24人も箱館新選組に加わり随行した。大野は土方歳三からの信頼も厚く、陸軍奉行添役に任命されている。

 箱館戦争での2人の功績といえば、明治2(1869)年の二股口の防衛戦だ。交代で指揮を執り、新政府軍の侵攻を食い止めた。大野にとっても誇らしかったのだろう。後に記した「函館戦記」の中で一部始終を詳細に書いている。

 また同年の新政府軍による箱館総攻撃も記述がある。兄のように慕った土方と唐津藩士の戦死を嘆く詩を詠んでいる。

 戦争後は謹慎の後、新政府に出仕。長野県や秋田県で県警部長を歴任。最後は東松浦郡長を務めた。大野は農民と膝を交える心を持っていた。庶民目線の仕事ぶりが上司と相いれず、対立した逸話が残っている。近代日本で数少ない人気ある地方官だったのだろう。

パネル討議(敬称略)

国のために頑張った 岩部

 黒田 新選組は敗者の歴史のような部分があり、明治維新を語る上で悪のように見られることもある。尊皇のために戦うという集団だったのか。

 土方 多摩出身の隊士たちは幕府のためにという思いが強かった。その延長線上に天皇がいらっしゃったという感じ。

 岩部 スポットの当て方で正義というのは変わってくる。幕末は、みんなが自分を正義だと思っていたのでは。「日本のため」という同じ気持ちの中で光と影がある。

 函館の五稜郭に行ったことがあるが、土方歳三のポスターやフィギュアなどグッズがたくさん売ってあった。海外からのお客さんも多く、町のヒーローといった感じだった。

土方にカリスマ性 辻

 辻 土方さんは統率力があってカリスマ性があった人だと感じる。亡くなる前の写真も「これからやってやる」という前向きなエネルギーを感じてかっこいい。

 黒田 新選組の「せん」の字は「撰」と「選」がある。勅撰和歌集など、天皇が絡むものには「撰」の字が使われている。

 古賀 「選」の字を使っている隊士もいるが、近藤勇や土方歳三ら幹部が書いたものには「撰」の字を使っていることが多い。会津藩に残っている公式文書でも「撰」を使っている。私としてはその辺を尊重している。ただどちらが正しいと断定はできない。難しい問題だ。

 黒田 箱館新選組隊士に唐津藩士24人がいたことは知っていたか。

 辻 知らなかった。土方歳三に憧れて入った人もいたのでは。

 岩部 私も知らなかった。唐津藩士が新選組に加わったことは誇りに思う。私も「唐津のために」という気持ちで頑張っているが、彼らは国のため、未来のために頑張った。自分より背負っているものが大きい。これからは歴史がある町に生まれたんだと胸を張っていきたい。

■司会

 黒田裕一(唐津市教育委員会兼唐津市明治維新150年事業推進室推進係長)

■パネリスト

 土方愛(土方歳三資料館館長)

 古賀茂作(新選組研究家)

 ミサイルマン・岩部彰(相知町出身のお笑い芸人)

 辻千恵(相知町出身のモデル)

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