制作年が分かる木彫りの仏像としては、佐賀県内最古であることが確認された「木造阿弥陀如来立像」(福岡市博物館提供)

仏像の内部から見つかった経典の包み(福岡市博物館提供)

仏像の内部に収められていた経典の包み(福岡市博物館提供)

 杵島郡白石町の弥福寺(みふくじ)が所蔵する「木造阿弥陀如来(あみだにょらい)立像」の内部から、鎌倉時代前期の承久4(1222)年に作られたことを示す経典の包みが見つかったと佐賀県立博物館が発表した。県内に現存し、制作年が分かる木彫りの仏像としては、安福寺(白石町)の弥勒(みろく)仏像の永仁2(1294)年を72年さかのぼり、最古になる。鎌倉時代以前の仏像から制作年が記された資料が発見されるのは珍しく、関係者は未開封の包みの中身にも関心を寄せている。

 博物館によると、仏像は高さ77・8センチ。空洞になっている内部から、承久4年1月9日に「金剛念盛(こんごうねんじょう)」という人物が出資し、仏師「琳賢(りんけん)」が作ったと表に記された紙製の包みが見つかった。包みは未開封で、大きさは縦34・5センチ、横4・6センチ、厚さ3センチ。

 仏像の背面の襟足部分の木材が欠け、内部に何かが収められている様子がのぞいていた。今年7月に住職や檀家(だんか)らの同意を得て、仏像の修理を手掛ける福岡県内の工房で頭部を外し、背中部分の内側から、銅製のかすがいで止められていた包みを取り出した。

 仏像は、1ミリ以下の細さに切った金箔(きんぱく)を貼って文様を作る「截金(きりかね)」と呼ばれる高等技法で装飾され、衣の裾部分などには仏師「快慶」(生没年不明)と共通する表現も見られるという。琳賢は記録にない仏師だが、鑑定した県立博物館の竹下正博学芸員は「美術作品としても一流」と高く評価する。

 包みには経典とともに、仏像が作られた背景や関わった人物の名簿などもくるまれている可能性がある。竹下学芸員は「制作場所や仏師の詳細など、内容次第では中世の彫刻史が大きく発展することになる」と今後の調査に期待を寄せる。

 仏像と包みは、15日から11月4日まで福岡市博物館で開かれる特別展「浄土九州展」で展示される。

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