退任式で地域おこし協力隊の同僚の上野菜穂子さん(左)から花束を受け取る佐々木元康さん=有田町役場

 有田町地域おこし協力隊の佐々木元康さん(35)が、3年間の任期を終えた。8月31日、退任式があり、関係者から移住・定住の促進や空き家活用を担った労をねぎらわれた。今後は、既に立ち上げているNPO法人で、空き家の管理やそのリノベーションを支援し、「移住する人も含め、有田町に暮らす人たちが未来に希望を持てるまちづくりに関わっていけたら」と夢を描く。

 有田町出身の佐々木さんは東京の大学を卒業し、埼玉県で製薬会社の研究室に勤務。Uターンのきっかけは、東日本大震災で宮城県南三陸町のボランティアセンターや、ボランティアの派遣団体の立ち上げに携わる中で、震災を機にUターンした住民らの地元愛に触れたこと。都会の子育て環境への疑問もあった。「きょうだい全てが親元にいないのが気がかり」でもあり、7年5カ月務めた会社を辞めて、協力隊員となった。

 15年9月から担った任務は主に、移住・定住促進、空き家活用、町の情報発信、高齢化が進む内山地区の活性化の四つ。手探りで始めた活動の視界が開けてきたのは、16年7月に始めた空き家見学ツアーだった。

 空き家の入居希望者に物件を現地案内する催しで、不動産業者との関わりができた。すると、ポータルサイトで紹介している空き家物件に、業者からの情報提供が増えた。「少しずつ町の人に信頼してもらえているのかなと感じた」と佐々木さん。

 同時期に、焼き物に携わる若者向けのシェアハウスと創作拠点づくりを、陶磁器販売店や住民と開始。自己資金も投入した取り組みに、町を思う本気度が住民にも伝わった。それが、空き店舗で物販などを行った「うちやま百貨店」(今年3月)にもつながった。

 退任式で松尾佳昭町長から「地域の人をつないでもらい、町に新しい風を吹き込んでくれた」と評価を受けた。地域おこし協力隊経験者らで組織するNPOの名は「灯ともす屋」。空き家や空き店舗、暮らす人の未来にあかりを灯したいとの思いで新たな一歩を踏み出す。

 

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