障害者雇用を推進する立場の中央省庁で障害者雇用数が水増しされていた問題を巡り、佐賀県内の障害者団体や法定雇用率の順守に努めてきた企業から「裏切られた」「国がきっちりやるのが筋」など憤りの声が上がっている。

 障害者雇用促進法は、法定雇用率を本年度から0・2ポイント引き上げ、国や自治体は2・5%、民間企業は2・2%と定める。障害者が労働者として能力を発揮する機会の確保という理念に、実効性を持たせる狙いがある。しかし、中央省庁では、昨年雇用したと発表した6900人のうち、3460人が不正に算入されていた。

 「国が障害者差別解消法などを施行しても、国の雇用現場で差別されていたという印象だ」。県身体障害者団体連合会の平川幸雄会長(72)は、怒りを隠さない。「作業所や企業は、障害者に就労や雇用の機会をつくろうと必死に努力している。手本になるべき行政がこんなことをするとは」。裏切られたとの思いは強い。

 県聴覚障害者協会の中村稔理事長(59)も、「県内企業の障害者雇用率は高い。それだけに今回の水増しは残念」。民間と対比しながら、省庁を批判した。

 県内企業は全国でも障害者雇用が進んでいる。昨年度の法定雇用率を達成した割合は72・6%で、7年連続で全国トップだった。

 佐賀市の機械メーカーの管理部門担当者は「民間を厳しく指導するには、国がきっちり取り組んでいることが筋だ」と糾弾する。

 従業員が100人を超える民間企業は、法定雇用率を達成できなかった場合、不足人数に応じて1人につき月額5万円の納付金が発生する。ただ、国や自治体からは徴収されない。担当者は「国のように、民間で3400人も水増ししていたのが発覚したら(納付金で)つぶれてしまう」と仕組みを問題視する。

 ある建設会社の人事担当者は「旗振り役の国が不正をしていては、障害者雇用はなかなか進まない」と切り捨てた。

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