山口知事からオスプレイ配備計画の受け入れを伝えられた徳永重昭組合長(右)=24日午後、佐賀市の県有明海漁協

 急きょ設定された防衛相の訪問に続き、県と国との補償合意、さらには知事の配備受け入れ表明-。“寝耳に水”の急展開に、県有明海漁協は戸惑いを隠せなかった。県からの協議要請自体には応じる姿勢を示し、漁協15支所の代表でつくる対策検討委員会で知事が直接説明するよう要望した。駐屯地建設予定地の地権者は改めて反対の立場を明確にし、コノシロ漁業者からは失望や怒りの声が噴出した。

 「何も聞いていない」。午後1時ごろ、防衛省と県が合意した事実を記者から伝えられた徳永重昭組合長は、言葉が続かなかった。午前中に「知事と会う前のあいさつ」で漁協を訪れた小野寺五典防衛相からは、合意に関する言及は一切なかった。「(訪問の)順番を逆にすれば良かったじゃないか」。「結局話はついていたのか」。漁協幹部からは不信の声が漏れた。

 3時間後の午後4時。受け入れを表明した直後の山口祥義知事が漁協に現れた。向かい合うテーブルを動かして距離を縮めた知事は判断に至った経緯を説明し、漁協抜きでの国との協議を「非常に切なかった」と表現した。徳永組合長は「受け入れを表明したという捉え方でいいですか」と知事に念押しした上で、「受け入れる受け入れないは別として、組織として協議する」と応じた。

 会談後、報道陣から「拙速な判断と感じるか」と問われた徳永組合長は「思いますね、やはり」。知事が100億円の基金を「有明海漁協の特定財源的なものと考えている」としたことには、「まだどういう類いのものか分からない」と述べるにとどめた。

 駐屯地予定地の地権者が多く所属する漁協南川副支所の田中浩人運営委員長も「急でびっくりした」。公害防止協定の重要さを改めて訴えた上で、県が示した基金については「諫早湾干拓に対する100億円とは性質が違う。お金で動いたと思われたら困る」と従来通り反対を貫くことを明言した。

 21日にコノシロ漁への影響は断定できないとする説明を受け、追加の調査を求めていた漁協大浦支所。投網業者会長の寺田豊さん(48)は「人生が台無しになる恐れがあるのに、一方的なやり方だ」と憤る。防衛相は再調査後に飛行経路や時間を制限する対策を示したが、「影響はないわけがない。騒音で魚がいなくなれば、生活できなくなる人が出てくる」と悲観した。弥永達郎運営委員長は「反対を訴えても計画はレールの上を走るばかり。諫干で苦しみ、これ以上いじめてほしくない」と不快感をあらわにした。

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