「なりたい自分になる学」をテーマに優木まおみさんが講師を務めた=佐賀市の県立図書館

 「弘道館2」の7時間目が7月29日、佐賀市城内の県立図書館であった。佐賀市出身でタレントの優木まおみさんが「なりたい自分になる学」をテーマに講義。県内の高校生や大学生ら約30人に、理想の自分になるための人生設計の極意を伝授した。その模様を紹介する。

 

フリートーク 「チャンスをつなぐ」

 

 ふるさと・佐賀に錦を飾るまで―。優木さんは、目標としていた佐賀市の魅力を広く発信する「佐賀市プロモーション大使」に就任するまでの生い立ちを語った。

◆アナウンサーになるために
 中華料理屋を営む両親のもとに生まれた優木さん。バスケットボールに打ち込むスポーツ少女だった優木さんが、将来の夢を決めたのは小学校高学年の時だった。クリントン大統領(当時)が来日し、通訳しながらインタビューした女性アナウンサーをテレビで見てくぎ付けになった。その時から、アナウンサーになるための人生計画は始まった。
 進学校の致遠館高校に進んだ優木さんは、「アナウンサーになるためには佐賀にいたらなかなか難しい」と、東京の大学への進学を決めた。東京学芸大学入学後も、英語を習得するためにハワイの大学へ留学もした。

◆諦めない気持ち
 放送局に入社しお天気キャスターを経て、情報番組や報道番組を担当するアナウンサーを夢見ていた優木さんだったが、放送局の採用試験は全滅。「約10年間、思い描いてきた人生設計がガラガラと崩れて全てリセットされた」と当時の心情を語った。
 落ち込んだ優木さんは、一般企業の採用試験を受けようかと悩んだり、「モーニング娘。」やエイベックスのオーディションを受けたりと迷った時期もあった。しかし、長年思い続けた夢は諦めきれなかった。「何かしら夢をつなぐ手段はないか」と考え、現在の事務所にフリーアナウンサーとして所属した。当時の事務所の社長から「なんとかしておまえをいっぱしにするからついてこい」と言われ、芸能界への道を進み始めた。

◆夢が原動力に
 事務所に所属しても仕事がなく、苦労は続いた。「きのうまで大学生だった人が『今日からアナウンサーです』と言っても全く仕事がないのは当然」とオーディションを受ける日々。ソロでCDを発売し、電気店の国内全店舗ツアーを行うなどアナウンサー以外の仕事も多かったが、「チャンスにつながるなら」と全力を注いだ。
 ツアーでは、当時はやっていた歌手の声まねをして、本人かと勘違いさせて人だかりができたところで自己紹介するなど、戦略的に集客を図った。その努力が実り、デビュー当時は数人だったライブも「頑張っているね」「意外といいね」と徐々に客が増え、1回のイベントで約300人の客が集まるようになった。優木さんは、「(アナウンサーの)夢が原動力になっていた」と振り返った。

◆ターニングポイント
 イベントで約300人の客が来る「インディーズアイドル」になっていた優木さんに、出版社から写真集の話が舞い込んできた。「25歳でグラビアを始めるには遅いし、アナウンサーになりたいのにグラビアの仕事はどうなのか」と悩み、事務所社長とゆっくり考えた。
 「誰かが引き上げてくれようとするチャンスを断るのは簡単だけど、断ってしまったら何もつながらない」と初の写真集を出すことに決めた。
 これが優木さんの人生のターニングポイントとなり、「エロ賢い」というキャッチコピーが付けられ、3年間ほどグラビア界を席巻する。さらに、バラエティー番組の出演が増え、キー局の競馬番組のキャスターも6年間務めた。
 マルチタレントとして活躍する中、2016年に「佐賀市プロモーション大使」に就任した。成功するまでは佐賀には帰らないと努力を重ねてきた優木さん。「ふるさとに認めてもらった。感慨深いものがあった」と喜びもひとしおだった。

◆両親の応援
 夢を追いかける優木さんを最初に応援したのは両親だった。優木さんは、「具体的なことを手伝ってくれる訳じゃなくても、『やってみなよ』というスタンスで見守ってくれたのがありがたかった」と目を細めた。
 現在、4歳と1歳の2人の子どもを育てる母親になったからこそ両親の偉大さに気づく。「(無理と言わずに応援は)なかなかできない。(大人は)先が少し読める。これまでの(経験の)範囲で考えると無理と思うこともある。無理だと一言も出さずに応援してもらえたのは親に恵まれていた」とほほ笑んだ。

 

ワークショップ なりたい自分計画

ワークショップで参加者が書く「自分の年表」

◆枝葉つながり新発想
 参加者は、まず紙に10代から100歳まで年代別に理想の自分や人生を書き出し、10分間で真剣に自分と向き合った。
 20代男性は「20代ではインタビューした記事を10個作製し、書籍化やSNS、ブログで発信して名前と顔を売る。30代ではフリーライターとして働きたい」。大学で芸術を学ぶ20代女性は「在学中に個展を開き、20代で結婚。30代で写真の雑誌に使ってもらえるようになって、自分の家を建てたり出産する」など思い思いの人生計画を発表した。優木さんは「私の頭の中にないような進路の進め方で、他の人の夢をのぞかせてもらうのは刺激的」と興味津々。
 続いて、参加者は「マインドマップ」作りに取り組んだ。中央の円に理想の自分像を書き、周囲に直近の目標や具体的に何をすべきか考えを巡らせた。
 「将来、経営者になりたい」男子高校生は「10代のうちにネットワークを作るために友達100人作る」とし、実現するために「面白い人になって勇気を持って話す。第一歩としてこの場で発表する」と人前に立った。優木さんは、「友達を100人作るためにこの場で発表するなんて一見つながらないように思える。でも枝葉でつながっていって新しい発想が生まれる」と笑顔を見せた。
 

書き出した自分の年表をもとに人生計画を説明する参加者

◆できないことはない
 優木さんは、人生において大切にしている言葉を紹介した。
 為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり
 優木さんは「後半が大事。漠然とやってみればかなうではなく、やり遂げてる人は何かしら努力している」と話し、「できないのは、やってないから。やってみればどんなことでもできる。何かやりたいことを定めてやれば、できないことはない」と言葉に力を込めた。
 大きな挫折を経験しながらも夢に向かって挑戦し続けている優木さん。「思い通りにいかないとしても、道筋を作っておけば、少し道をそれても軌道修正できる。頭の中に目標があれば夢をつかみやすい」と理想の人生を送るヒントを説いた。
 40代の目標の一つに「女優として初舞台に立つ」と掲げた優木さんは「将来って案外終わらなくて、ずーっと続く。私も将来やり遂げたいことをやっていけるように頑張るので、皆さんも大いに夢を語り合ってなりたい自分を実現していくために頑張って」とエールを送った。

 

Q&A

 Q.ことし大学受験を控えていて、佐賀を盛り上げられるタレントになりたいという夢はあるが、どのような勉強をしたらいいのか、何を学びたいか明確じゃない。
 A.(私の場合)大学選びは東京の大学で、両親から「国立しか無理」と言われたので受かる国立大学の中で選択した。振り返れば勉強したい学科を選べばよかったと思ったことはある。周囲は教師になりたいと志が高い中で、私はあまり授業に興味がなくて学校行かなくなった。単位が取れなくて逃げるようにハワイ大学に留学したり。そういう意味で考えると、大事な4年間なので一生懸命考えた方がいい。考えあぐねた一歩に、意味の無い一歩はない。

 Q.ネガティブになりがちで落ち込んだ時はどう乗り越えていくか。
 A.自分には無理かもと劣等感を抱える時にチャンスが来ていると考えて。全部できていると思っている時は何も成長しない。最終的にはなんとかなるという自信は大事だけど、本当の自分は何もできないんだと思っていい。できないと思っている人は自分を100点ベースで考えて減点方式で考えている。0が当たり前で1できたら褒めてあげる、2できたらもっと褒めてあげる。ネガティブなことをきっかけに発想を転換していく練習をすると上手に切り替えられる。お風呂で叫ぶとかシャワー浴びながら「ワー」と言って汗と共に忘れるなど、自分なりの方法を見つけるといいかも。

 

参加者感想

◆辻田美桜さん(16)=致遠館高2年=
「勉強や部活で友人と比べて悩んでいたが、できた部分をプラスに考える方法を学んで元気が出た。限界を自分で判断していたが、今後は限界を決めず、社会福祉士になる夢に向かってチャレンジしていきたい」

◆中野里美さん(18)=致遠館高3年=
「人生設計を考えたことがなく、同年代の人たちの発表を見て、意識が高くて圧倒された。将来は貿易関係の仕事に就きたいと思っているので計画を立てて夢に近づける大学に進みたい」

 

佐賀弁でメッセージ

 さがんもんって言うやなかですか。(昔から)「さがんもんって何で隠さないかんと?」と思っていた。ここに来ている人は誇りのある若者だと思う。佐賀からいっぱいパワーば送って、日本中にさがんもんパワーば見せつけてやろう。内に秘めたるパワーやと思うけん、世界中にいっぱいアピールしてほしい。

 

動 画

 

 「弘道館2」とは  幕末佐賀の藩校・弘道館をイメージして再現した県の人材育成事業。佐賀県内の若者を対象にさまざまな分野の最先端で活躍する県内ゆかりの講師を招いて学ぶ。コーディネーターは電通の倉成英俊さん=佐賀市出身=。10月7日はアニメ映画「風の谷のナウシカ」に登場する飛行具を模した「M-02J」を制作したアーティストの八谷和彦さん=佐賀市出身=、アイデアの生み出し方について講義する。同14日には、首都圏を中心に全国で生花販売を展開する井上英明さん=鹿島市出身=を講師に迎える。問い合わせは事務局、0952(40)8820。

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