佐賀県産の新品種イチゴ「佐賀i9号」は切り口に赤みがある(県提供)

イチゴの新品種「佐賀i9号」を栽培するモデル農家としての役割が期待される森園文男さん(中央)ら「i9マスタ-」認定者=杵島郡大町町のJAさが杵藤エリアみどり地区中央支所

 イチゴの新品種「佐賀i9号」が今秋デビューする。着色と食味に優れ、収量も多く、産地活性化の起爆剤として大きな期待が集まる。一方で、県民に長年親しまれてきた主力品種「さがほのか」の後継となるだけに、関係者は絶対に成功させなければならないという重圧を抱えての船出となる。

 佐賀i9号は、県とJAグループ佐賀、生産者が一丸となり7年かけて開発した新品種で、1万5千種の中から選抜された。実の中まで染まった鮮やかな「赤」が特長。果実の張りが良く、食感もジューシーで、さがほのかより収量も多い。今年1月に首都圏の女性108人を対象に行った人気3品種との食べ比べ調査では、4割超が佐賀i9号を1位に選んだという。

 JAのまとめでは、県内のイチゴの生産者と作付面積は20年前から半減している。10年ほど前にイチゴの単価が下落したことで減少に拍車がかかり、単価が安定している現在も歯止めがかかっていない。産地回復のための新品種開発は急務になっていた。

 昨年産は、県内22人のモデル農家が先行して佐賀i9号を試験栽培した。市場での食味の評価が非常に高かった一方、「傷み果」や「過熟果」、「着色不良」の発生に対する厳しい指摘もあったという。年内収量も想定より少なかった。

 杵島郡大町町で9日、生産者を集めた研修大会が開かれ、県やJAの担当者が、さがほのかと同様の管理では佐賀i9号のポテンシャルを発揮できないと強調。両者を同じハウス内で栽培しないことや、着色8分段階での収穫の徹底、温度の高い日中収穫の禁止など注意点を説明した。また、地区のリーダーの役割を担う先行栽培農家21人を「i9マスター」に認定。みやき町の森園文男さん(62)が「生産者と関係機関が一体となって『オール佐賀』で頑張っていきましょう」と呼びかけた。

 本年産は、全体の約1割に相当する160人が16ヘクタールで佐賀i9号を栽培し、4年をめどにさがほのかから完全に切り替える予定。現在は“イチゴ戦国時代”と称されるほど全国で多くの品種がしのぎを削っている。全国のトップブランドに育てるために、県園芸課の鍵山勝一課長は「1年目が勝負」と力を込める。

 佐賀i9号は10月中旬に正式なネーミングが発表され、11月下旬ごろから店頭に並ぶ。

■「i9マスター」認定者(敬称略)

 【JAさが】志岐優郎(中部)内田和久(同)森山利則(神埼)平川乙次(同)一番ケ瀬義都(同)森園文男(東部)大隈清孝(同)島内康高(同)寺田和弘(同)岩永八大(みどり)溝上正司(白石)

 【JAからつ】出口徳人、濱口圭二、寺田敦夫、渡辺重隆、堀田規文、石本常次、松尾亮、辻村義史、田中健之

 【JA伊万里】前田幸範

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