7月9日に開かれた第18期鳳雛塾のオープンセミナー。慶応大湘南キャンパスにいる飯盛理事長がネットを利用して講演した=佐賀市のオプティム・ヘッドクォータービル

 起業を後押しするビジネススクール「鳳雛(ほうすう)塾」(理事長・飯盛義徳慶応大学総合政策学部教授)が10月で20年目を迎える。経営に必要な実践的な能力を身につける講座を開き、これまでに約500人が受講。30件の起業、市民団体設立につなげた。東証1部上場を果たしたシステム開発「オプティム」(本店・佐賀市)もその一つで、同社は鳳雛塾に活動拠点を提供するなど起業支援の機運がさらに高まっている。

 母体となったのが1998年、佐賀銀行など県内企業27社が資金を出した佐賀大学の寄付講座。経営スクール「平成弘道館」を経て、若手の起業希望者が中心となり99年に鳳雛塾をスタートさせた。2005年に運営団体をNPOにしている。

 当初から変わらないのが「ケースメソッド」と呼ばれる議論を軸とした授業のやり方だ。実在する企業の新製品開発、業務改善などの実例を講師が提示。これをもとに、受講生が「自分が経営者だったらどうするか」と考えて情報を集め、課題を解決するための意見を出し合う。論理的な考え方や話し方、戦略的な意志決定力、洞察力などが身につくといい「経営には絶対的な答えがない。だからこそ、徹底的に考えて行動する力をつけて」。飯盛理事長はそう説明する。

 今年で18期生を迎えたスクールは、7~12月まで全9回を予定する。受講生を現在も募集中で、飯盛理事長は「切磋琢磨(せっさたくま)して学び合えるコミュニティーにしたい」と呼び掛ける。

 18期生の顔合わせとなった7月9日のオープンセミナーは、佐賀大学内にあるオプティム最先端技術拠点「ヘッドクォータービル」で初めて開かれた。菅谷俊二社長が佐賀大学農学部の学生時代に2期生として学んだことが縁となり、ビルの一角を鳳雛塾の事務所として1月から貸している。菅谷社長は「ビジネスモデルや人脈の構築など多くの指導を賜った。現在の事業を支える人材と出会えて、起業家がぶつかる壁を二つ、三つ取り除いていただけたようなもの」と感謝の言葉を述べる。

 鳳雛塾は子ども向けのキャリア教育にも力を入れ、販売体験や商品開発、就業体験などに取り組んだ小中高校、大学生は2万5千人を超えた。菅谷社長は「佐賀から第4次産業革命を起こそうと活動しているが、人材が全てになる。人材育成で共に活動したいから鳳雛塾に入居いただいた。ここで学んだ子どもたちと世界を駆け巡る日が来ることを楽しみにしている」とコメントした。

 鳳雛塾ファウンダーで佐賀銀行総合企画部兼営業統括本部主任調査役の横尾敏史氏は「社会で必要とされることを早い段階で体感すると、学業への意欲が高まる」とプラス効果を指摘する。起業家育成について「起業後に寄り添っていく支援、連携強化に力を入れたい」と抱負を語った。

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