岡山県倉敷市の避難所で不調を訴える避難者を診療する医師(A-PADジャパン提供)

 広範囲に甚大な被害をもたらした西日本豪雨では、佐賀県内のNPO法人や水道事業者が、深刻な被害を受けた広島、岡山へ支援に動いた。浸水被害からの救助搬送や断水地域での給水、避難者支援。被災の現場を目の当たりにした支援者は、大雨に対する過小評価や「想定外」のレベルにも対応できる対策がなかったことが被害拡大につながったとの気づきを得て、改めて「想定外」もカバーできる防災対策や意識啓発の必要性を痛感している。

 災害時に活動するNPO法人「アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A―PADジャパン)」(佐賀市)は7月7日に被災地の現地調査に動き出し、8日から支援を開始した。

 当初はヘリコプターなどで医療搬送し、人命救助に奔走した。広島、岡山両県の避難所で過不足品を調べ、水やタオル、肌着などを佐賀市内の備蓄倉庫から運んだ。

 現在は、被災者の日常への復帰に重点を置く。食料品は水とおにぎりだけでなく、次第にコーヒーやチョコレート、果物など種類を増やし、子ども向け絵本の提供やエアコンの設置も進めている。現地で状況を把握しながら、中長期的にきめ細かな支援を続ける。

 「小さな行動が生死を分ける」。何度も現地入りした同NPOの根木佳織事務局長(41)が被災地で得た実感だ。豪雨被害の実相から「多くの人が大雨を事前に過小評価して、(食料品を買い込むなど)避難しないための準備をしてしまった」との構図を読み取る。

 地震と異なり、大雨は予報が出る。「避難指示が出ても、実際の避難者はとても少なかった。避難所に抵抗がある人も多い。『緊急時はここに避難する』という家族、知人宅を決めておくのも一つの方法」と提起。「県内でも浸水でたどり着けない指定避難所はなかったか。自治体は改めてチェックしたほうがいい」と指摘する。

 佐賀市上下水道局は7月9日から尾道市、三原市で18日間、給水支援をした。尾道市の断水は、水源となっている広島県管理の取水場が浸水被害を受けて故障したことが原因だった。

 佐賀市の場合、神野浄水場は多布施川に隣接する。登清隆副課長(55)は「浸水による施設の故障は想定を超えた災害だった」と現場で感じた。田中泰治局長も「15年後には施設の更新を迎える。施設強靭(きょうじん)化と早急に復旧できる減災対策がどうあるべきか検討していきたい」と話す。

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