一生涯のうちに半分以上の女性が1回はぼうこう炎にかかると言われています。あまり季節性はないとされていますが、当院では1年を通して見ますと夏場にかかる方が1、2割程度増える傾向にあります。

 さて、細菌性ぼうこう炎の治療には抗生物質が効果的であることは割と知られてきているようで、患者さんの中には、よくかかるからと治療用の抗生物質をあらかじめストックしておいたり、家族や友人から飲み残しの抗生物質をもらって飲むなどしたりして対処される方もおられます。ぼうこう炎の症状は排尿中~終末時の痛みや眠れないほどの頻尿、残尿感など、辛いものがありますので、早く薬を飲んでどうにかしたい、という気持ちはあるでしょうが、自己判断で抗生物質を使うことはとても危険な行為です。

 抗生物質として医療機関で取り扱われるお薬は、現在100種類以上あります。医師はその中から、病状や目的の臓器などにより、効果があると思われる薬剤を選んで処方します。抗生物質だから何でもよいと考えていろいろな薬を飲むと、原因菌は抗生物質が効きにくい菌になることがあり、治療が難しくなったり、そのせいで炎症がきちんと治らず、繰り返し起こる原因になったりすることがあるのです。

 また、ぼうこう炎に限った話ではないですが、症状がよくなったからと抗生物質をやめるのもよくありません。今ある炎症をきちんと治す、という観点からはもちろんですし、飲み残しを使い回すのは論外、ということになりますね。

 ほかにも、そもそもぼうこう炎という診断自体が違っていることもあります。自己流の治療は結局、その後の治療を長引かせることになります。おかしいと思ったらまずは医療機関を受診し、処方されたお薬をきちんと飲みましょう。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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