佐賀大時代の作品から現在まで約50点を並べる。「自分の表現したいものが削がれてシンプルになっている」と話す山下耕平さん=大川市の清力美術館

「乾杯」(2010~12年、木製パネル、アクリル・ペンキ・カラーインク)

「チェリ・レ・ド・ボイ」(2006年、壁紙、カラーインク・鉛筆)

山下耕平さん「千鳥ヶ淵」(2018年、木製パネル・アクリル)

 佐賀大出身の画家山下耕平さん(33)=筑紫野市=による個展「たわいない肖像」が、開かれている。一見ポップな色合いだが自身の迷いや病みをぶつけるように描き、見る人の心を揺さぶる。

 個展では、佐賀大時代から現在までの作品約50点を並べる。学生時代の作品「チェリ・レ・ド・ボイ」は、顔を隠した人、人、人で埋め尽くされる。真ん中に立つ少年も顔を隠される。「対人関係でうまくいかない気持ちを描いた」という。「乾杯」は、周りの人から首をとりまかれ、横たわる少年は気が遠のいているよう。離れた場所で、オレンジの光線をまぶしそうにする幼い少年。心の深いところが突かれて、あばかれてしまうイメージで描いた。

 卒業後に制作した「道中無題6」。タイトル通り、道半ばの自身の心情を描いた。口をつぐみ、何か言いたげでもある表情。ふつふつとした目にインパクトがある。「きっとブルーベリー」は少年のきらめく瞳にブルーベリーを重ねる。

 大学から現在までに作風はがらりと変わり、線描の「揺れ」とモチーフのシンプルさが際立つ。以前のくっきりとした輪郭がなくなって何度も線を重ねたり、少年を中心に据え描き込みが少なくなっている。「作品を人に見てもらうことで変わってきた。『気持ちがどうやったら伝わるか』を常に考えながら描いてきた」と話す。

 山下さんは佐賀大学美術工芸課程デザイン画専攻卒。大竹伸朗さんの回顧展でそのパワーに圧倒され、画家への道に進んだ。2014年には本展覧会でも出品した「道中無題」など9作品が絹谷幸二賞を受賞。山下さんは「これまではその場で短期間で制作してきた。じっくり一つの作品に向き合う表現法も挑戦したい」と話していた。

 

■大川市の清力美術館で

 大川市の清力美術館=電話0944(86)6700=で9月2日まで。一般200円、障害者手帳がある人と中学生以下無料。4日午後2時から「こんな気持ち・どんな顔」と題する制作ワークショップ(参加費500円)。26日午後2時から山下さんと福岡県立美術館学芸員がギャラリートーク。

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