佐賀新聞社社長・中尾清一郎

新装した佐賀新聞社屋と周辺=佐賀市天神(ドローンから空撮)

 今年は明治維新から150年、来年には慣れ親しんだ「平成」が終わりを告げます。佐賀にとって幕末維新は栄光の時代ですが、「朝敵」とされた会津をはじめとする東北、北陸の諸地方にとっては苦難の記憶です。歴史を多面的に検証するには、じっくりと理性的な判断を働かせなければなりません。「簡潔に」とか「ざっくり言うと」と物事を単純に、手短にまとめることで歴史の評価ができるとは思えません。

 

■「新聞」は必要か 

 

 佐賀新聞社は創刊134年となる今日、8月1日を以てCI(注記1)を実施します。ただ、今回のCIはキャッチコピーを「ページを開く 未来を拓く」に変えるにとどめ、マークや社名ロゴの変更は行いません。それよりはむしろ、私たち佐賀新聞に関わる者の内面に訴えたいと考えました。なぜ、活字離れ、新聞離れは歯止めがかからないのか。自分たちは誠意を持って取材や広報活動に携わってきたはずなのに、新聞が社会に必要とされなくなっているのではないか、という自問です。

■全ての人がメディア化 

 いまや、SNSやYouTubeなどの動画サイトで世の中の全ての人が「発信者」となりました(注記2)。事件事故では現場に立ち会った人が第一報を発信し、それが瞬く間に世界に拡散していきます。新聞はもとよりテレビも速報性を失い、決められた時間に視聴する、という行為自体が現代人の間尺に合わなくなってきています。いまは既存メディアの存在意義が問われている時代です。

 そこで私たち佐賀新聞は、ローカルにあって必要とされるのか、その原点に立ち返って自らを見つめ直したいと考えます。新聞は「すでに起こったこと」を紙に印刷し、人手によって配達されます。その「済んだこと」が改めて読むに値する記事かどうかの検討が重要です。私たちは長年の取材、企業活動を通して以下のような知見を得ました。

 ●地域には助け合いのコミュニティーが重要で、それは自然災害への備えにもなる

 ●人口減少社会にあって、福岡という中核都市圏に隣接する利便性を活かす

 ●文化や教養を大切にする風土、景観や自然を守ることが生活者の幸福に直結する

◇        ◇

 佐賀新聞社とグループ企業はこれから佐賀県民の生活シーンのあちこちに関わり、県民の利便性と文化向上に貢献していきたいと願っています。皆様からの叱咤、激励を糧として、新たな時代に適合するメディアへの変革を遂げたいと考えます。

 注記1 CI(Corporate Identity)とは 企業の目的や理念をわかりやすいメッセージやイメージで発信し、自らの存在意義を検証する企業戦略の一つ。

 注記2 脳科学者の茂木健一郎先生と、佐賀新聞社社長中尾清一郎の「放談」をまとめた動画が最近、YouTubeにアップされました。話題は文化や芸術、はては美食や死生観まで、事前打ち合わせやリハーサルなしの一発撮りです。

 茂木さんとの「放談」はこちらから>

このエントリーをはてなブックマークに追加