福岡高裁判決を受け、会見する佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長(左)と江頭忠則専務理事=佐賀市の漁協本所

諫早湾干拓事業を巡る訴訟の判決について所感を述べる山口祥義知事=佐賀県庁

 「有明海の再生を本当に考えているのか」-。福岡高裁が2010年の開門命令判決を無効化する判決を下した30日、佐賀県内の漁業者からは司法への不満や不信感が渦巻いた。判決を受け、漁協はこまめな排水の確実な実施や排水ポンプの増設など3点を国に再度要望する考えを示した。

 「司法もこういった判断をするんだなと単純にびっくりした」。確定判決を自ら覆した福岡高裁に対し、佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長は皮肉を込めた。

 漁協は訴訟の当事者ではないが、開門しないことを前提にした基金による和解成立を要望した経緯がある。徳永組合長は、再生への思いが訴訟と絡めて扱われたことに「非常に違和感があった」と振り返り、国の意向に沿った和解勧告案を出した裁判所に「和解というのなら、和解できるような形をつくってほしかった」と指摘した。

 国に対しても「(漁業者の)権利を破棄することに全力を注いで、有明海の再生をどうしようということは別個に置いている気がする」と疑問を呈した。

 漁業不振が特に深刻な漁協大浦支所(太良町)の弥永達郎運営委員長は「国の言い分を120%認めた。『もとの海に』という主張は封じられ、漁業者はものが言えなくなった」と無念さをにじませた。漁業者に請求権がないとする事実上の“門前払い”の判決に「法律論でしかなく、お手上げだ。豊かな海の再生を第一に考えてもらいたかった」と嘆いた。

 県庁で取材に応じた山口祥義知事は顔をこわばらせ「詳細はよく分からない」としつつ、「概要を聞いた限りでは、さまざまな思いが、いろいろ交錯するような判決」と言葉を選びながら答えた。今後の対応については「(判決を)よく分析したい」と述べるにとどめた。

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