大学の誘致をまちづくりにどう生かすか。今後の展望を議論したパネルディスカッション=小城市のゆめぷらっと小城

「地域活性化」をテーマに基調講演する東国原英夫さん

 小城市のまちづくりを考えるシンポジウムが29日、同市であり、元宮崎県知事の東国原英夫さんが講演した。パネルディスカッションでは山口祥義佐賀県知事や江里口秀次市長らと意見交換、地域活性化のため西九州大看護学部を誘致した市の取り組みについて、「方向性は間違っていない。あとは市民がどう関わるかだ」とまちづくりへの参画を呼び掛けた。会場には市民ら約350人が詰め掛け、大学の役割、地域との連携について考えた。

■教育と家庭、地域密接に 東国原さん講演

 東国原さんは「大学改革で変わる“まち”のあり方と地域の姿勢」と題し、地域活性化について持論を展開した。看護学部を創設、誘致した西九州大や市の姿勢を「高齢化社会を見据えた正しい選択」と評価する一方、人材の育成、老若男女が笑顔で過ごせる地域の実現には「市民がいかに関心を持ち、まちづくりに参画するかで決まる」と訴えた。

 東国原さんは「教育は人材育成の重要な要素。大学を誘致してまちを元気にするという考え方は間違っていない」と述べた。その上で、大学にだけ教育を任せるのではなく、家庭と地域が密接に関わり合う必要性を指摘。都会より地域や住民同士の距離が近い地方だからこそ「実現できるチャンスがある」と話した。

 2025年には、団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者になる。「国や自治体は限られた財政で対策を求められる」と厳しい現実を示しつつも、「ユーモアは社会の潤滑油」との持論そのままに、宮崎県の実家で暮らす母親の介護の様子を冗談交じりに紹介し、会場の笑いを誘った。

■次代担う人材育て 知事、市長らパネル討議

 パネルディスカッションには、山口知事や江里口市長、大学の誘致活動を進めてきた地元経済界のトップら6人が登壇し、東国原さんも助言役として議論に加わった。大学の開学を地域の発展にどう生かすか。それぞれの立場から意見を述べ、地域が一体となって学生を受け入れ、次代を担う貴重な人材として育成していく必要性を確認した。

 西九州大看護学部の定員は90人。3年後には360人が通うことになる。江里口市長は「若者が増えれば地域に活気が生まれる。大学、学生と地域とのさらなる交流を促したい」と展望を話した。

 県内高卒者の4割が進学などで県外に流出する中、看護学部の本年度入学生のうち県内出身者は66%を占める。山口知事は、大学開学が若者の新たな受け皿になる効果に期待し、「学生と名前を呼び合うほど濃密な付き合いができれば、もっと多くの学生がここで学びたいと思う」と市民の積極的な関わりを求めた。

 村岡安廣・小城商工会議所会頭は「経済の原動力は人づくり。大学から何をいただけるかではなく、何をどう生み出すかをみんなで考えよう」と話し、福元裕二西九州大学長は「若者は地域とともに育つ。皆さんの後押しで、学生の可能性は何倍にもなる」と協力を呼び掛けた。

 若者の県外流出という地方共通の課題について、東国原さんは「多くの自治体がさまざまな施策を講じているが、解決は難しい」と説明。その上で「行政がいくら突っ走っても、市民の支援がなければ地域は変わらない。学生たちをいかに市内、県内にとどめるか、皆さんで工夫、チャレンジしてほしい」と話した。

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