国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、潮受け堤防の排水門の開門調査を命じた確定判決に基づく間接強制金(制裁金)を強制しないよう国が求めた訴訟で、福岡高裁(西井和徒裁判長)は30日、一審佐賀地裁判決を取り消して請求を認めた。開門義務を実施しない国に対する強制力が失われ、2010年12月の福岡高裁確定判決は事実上無効となった。

 国は、確定判決と開門差し止めを認めた長崎地裁の仮処分決定(13年11月)と相反する司法判断で板挟みの状態が続いてきたが、今回の判決で解消される見通し。敗訴した開門派の漁業者側は開門命令の後ろ盾がなくなり、司法の動きは大きく転換して開門しない方向で進む。漁業者側は最高裁へ上告する方針。

 国は14年1月、強制執行となる制裁金の支払いを免れるために救済措置の手続きとなる「請求異議」の訴えを佐賀地裁に起こした。14年12月、佐賀地裁は棄却し、国側は控訴していた。

 訴訟で国は開門の可否を明確にしてこなかったが、17年4月に農相が開門しない方針を表明した。福岡高裁は今年2月の結審後に始まった和解協議で、開門しないことを前提に国が提案する100億円の漁業振興基金の創設によって問題解決を図るよう勧告し、「非開門」の姿勢を明確にしていた。

 福岡高裁は判決で制裁金の強制執行の停止も決定し、漁業者側への支払いは止まることになる。国が14年6月から約4年にわたって支払ってきた制裁金は12億330万円に上っていた。

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