全国高校総体バドミントン女子団体に初出場する多久の選手たち。社会体育で指導する山下大介監督(右)、田中昌樹さん(奥)が成長を見守ってきた=多久市の北多久社会体育館

 全国高校総体のバドミントン女子団体に多久が初出場する。選手たちは県総体で佐賀女子の46連覇を阻んだが、高校にバドミントン部はなく、社会体育で力を付け、夢をかなえた。10年間成長を見守ってきた山下大介監督(42)=武雄市出身=ら指導者にとっても特別な夏になる。

 全国総体を控えた7月下旬。したたり落ちる汗をTシャツで何度もぬぐい、シャトルに食らいつく姿があった。練習は週30時間。全国の強豪校にもひけを取らない。この日は授業を終えた夕方からラケットを握り、体育館を出る頃には午後10時を回っていた。

 選手6人のうち、小学生の時から山下監督に指導を受けているのは3年生で主将の江里口梨奈選手ら3人。いずれも中学時代に九州大会で優勝している。多久には部がないため、2年前の冬、中学卒業を控えた江里口選手が「高校でも指導してほしい」と山下監督に懇願。現3年生3人で愛好会として活動を始めた。

 メンバーの中には県外の強豪校から誘いを受けた選手もいる。江里口選手もその一人だが、「山下先生となら上を目指せる」と地元に残った。人数がそろわず1年目は団体戦に出場できなかったが、「強いチームを倒してインターハイに出る」との一心で練習に打ち込んできた。

 山下監督は小学3年で競技を始め、強豪の関東一高(東京)から法政大に進学。30歳まで実業団のYKK九州(熊本)でプレーした。指導者を目指して2006年に帰郷。当時、国体の県代表監督で、多久市で28年前から社会体育のバドミントンクラブを率いている田中昌樹さん(53)=相知小教諭=に選手強化を託され、二人三脚で歩んできた。

 山下監督が大切にしているのは選手たちの自主性だ。あと一歩で頂点を逃してきた自らの苦い経験が根底にある。「敵は自分。つらい練習を乗り越えた先に新しい景色が広がる」。怠慢なプレーをする選手がいれば練習を止めてこう諭す。

 チームの競争心を促すため、30人を超える精鋭が全国から集まっている青森山田高に毎年遠征。激しいレギュラー争いを繰り広げる常勝校の厳しさも肌で感じてきた。

 初の全国総体で掲げる目標はベスト8。山下監督は「決してかなえられない夢ではない」と選手の力を信じる。メンバーの1人、2年生の田中果帆選手の父でもある昌樹さんも「何度も種をまき、水をやり、全国で戦える選手がそろった」と言い切る。初戦は8月5日、松江商(島根)と対戦する。

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