明治維新150年を記念し、佐賀市中心部を主会場に開かれている「肥前さが幕末維新博覧会」が好評だ。3月17日から来年1月14日までの期間中に100万人以上の来場を見込んでいたが、開幕から4カ月で80万人を突破した。維新博事務局は「博覧会に対する県民の認知度、来場者の満足度は高い」と手応えを感じているが、「連日の猛暑で、来場者数が鈍ってきた。何度でもリピートしてもらえる内容と自負しているので、まずは早い時期に訪れてもらえるよう呼び掛けたい」という。

 開幕当初は団体客が少なかったが、維新博各会場とイベント来場者の総数は1カ月で18万人を記録した。アンケートによると県内客が6割、県外は4割だった。

 その後、県内の全公立小中学校の8割にあたる228校から児童・生徒約5万人が訪れたこともあり、7月15日現在で来場者数は約83万人に上った。「郷土への愛着や誇り、自信を取り戻し、次の世代につなげる」という未来志向の博覧会なので予算をかけてでも地元の子どもを招く意義は大きい。

 メインの「幕末維新記念館」では「佐賀の偉業」「技」「人」「志」をテーマに、大画面の臨場感あふれるアニメで歴史を体感できる。人気講談師がナレーションを担当するなど、映像とパフォーマンスを組み合わせた演出もある。

 単なる歴史回顧や人物紹介にとどまらず、佐賀藩が明治維新以降、なぜ薩長両藩ほどの存在感を示せなかったか、なぜ「鳥羽・伏見の戦い」で沈黙を決め込んだのか、といったテーマにまで踏み込んでいる。想像を交えず、「直正公傳(でん)」の記述から抽出した“生の言葉”を使うなど、しっかり歴史考証している。10代藩主・鍋島直正の本心や大隈重信や江藤新平らが残した言葉に心を揺さぶられる来場者も多いと聞く。

 手書きメッセージを“木”に投影する「ことのは(葉)」のインスタレーションも人気だ。国づくりに奔走した偉人の言葉に感銘を受け、「ゲームなんかしてる場合じゃない」と書いた若者もいた。

 維新記念館周辺では、柳町に「リアル弘道館」や「葉隠みらい館」を展開している。街のにぎわい創出に期待がかかるが、連日の猛暑が集客に水を差す。最近の人通りはまばらだ。維新記念館だけでなく、柳町などの街歩きにつなげるようさらに策を練る必要がある。維新記念館では総合案内所のほかに、出口に周辺会場の案内板を出し、パンフレットも充実させているが、まだ十分ではない。

 徴古館では、学芸員や職員らが来館者を茶でもてなし、市内に点在する文化施設のおすすめルートや地元の穴場情報などを伝え、喜ばれているという。ぜひ維新記念館の出口近くにアテンダント(案内係)を配し、「おせっかいすぎる」と言われるまで親切に対応してもらいたい。人との触れ合いが、佐賀の魅力を増すことにつながる。人こそが郷土の財産だといえる。鹿児島や高知などの維新博との差別化にもつながる。

 「唐津くんち」や「バルーンフェスタ」など秋の観光シーズンに向け今後、維新博との相乗効果が期待される。一過性のイベントで終わらせないためにも、郷土の歴史を掘り起こすとともに、現代の産業や文化とつなげる契機にしてほしい。(藤生雄一郎)

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