分娩間隔の短縮に向けて工夫しているモデル農家の牛舎を視察する参加者=唐津市肥前町

 牛の分娩ぶんべん間隔短縮に向けた研究が県内各地で行われている。県やJAなどでつくる「パワフルさが畜産実践プロジェクト」は、2016年から間隔短縮に向けた取り組みを促進、牛の健康管理や発情時期を「見える化」する工夫を重ねて改善効果を上げる農家も出始めてきた。成果は広く共有し、県内の繁殖農家全体の所得向上につなげたい考えだ。

 牛の妊娠期間は一般的に285日。分娩間隔の全国平均は411日で、理想である「1年1産(365日)」に近づけるには、牛の発情サインを見逃さず、排卵に合わせて適切に授精させることが必要となる。県畜産課は「分娩間隔の短縮は、農家の収益に直結する“永遠の課題”。間隔を短くできれば繁殖雌牛を増やさずに効率よく子牛を増やすことができるし、農家のリスクもない」と重要性を強調する。

 プロジェクトでは、県内4地区約20戸のモデル農家で重点的に研究を進めてきた。26日は唐松地区で、繁殖農家やJA関係者ら約100人を集めた現地研修を実施。県やJAによると、地域の垣根を越えた県全体での研修は初という。

 繁殖雌牛89頭を飼育する唐津市肥前町の井上匡実さん(39)は、エクセルの管理表で授精や治療が必要な牛が一目で分かるように工夫した。牛の状態ごとに赤や緑のビニールテープを張って識別し、餌の量などを管理、発情サインを見逃さないようしっぽ部分にペイントを施した。地域の農家で定期的に集まって意見交換しており、15年に12・5カ月だった分娩間隔は、17年は12・2カ月になった。井上さんは「みんなで意見を出し合うことで、当たり前にすることへの意識付けができるようになった」と語る。

 東松浦郡玄海町の岡本拓也さん(29)は76頭を飼育。体格ごとに群管理していた牛を、妊娠中、妊娠待ちなど繁殖ステージごとの管理に変更し、発情確認が必要な牛だけをまとめた。繁殖管理盤と呼ばれる道具で家族内の情報共有も徹底し、14・7カ月(15年)から12・7カ月(17年)へ大幅に短縮した。岡本さんは「1頭ずつポイントごとに治療や妊娠鑑定をしたら、おのずと成績が上がった」という。

 研修後の座学では、4地区の代表者が牛の状態に応じた飼料計算ソフトの活用法などを紹介した。JAさがの担当者は、スマートフォンで牛の情報確認や、注意すべき牛のリスト化、関係者との情報共有ができるクラウド型の管理システムを説明した。「JAグループ佐賀全体で取り組み、繁殖経営の向上につなげたい」と語った。

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