決勝・唐津商-佐賀商 7回裏、佐賀商に3点目を奪われ、厳しい表情を見せる唐津商の主戦伊藤諒成=みどりの森県営球場(撮影・米倉義房)

 唐津商の主戦・伊藤諒成は最終打席に立ったが、2死から投ゴロとなり試合終了。優勝に沸く佐賀商ナインを見つめると、唇をかんだ。2回戦から準決勝まで防御率0・30と抜群の安定感を見せたが、「抑えないといけないところで詰めが甘かった」。終盤に痛打を浴びた。

 二回に1点先制され、五回、七回と1点ずつ奪われるごとに「まずは基本に立ち返ろう」と直球を低く投じ、気持ちを入れ直した。八回表に仲間の援護で1点差に。逆転できると確信し、無失点で抑えたかったその裏、高く浮いた変化球を捉えられ、2点を奪われた。

 投手へ本格的に転向したのは1年の秋。「練習試合で試したら、切れがある良い球を投げた」と吉冨俊一監督。当時の持ち球は直球とスライダーのみ。制球力もなかった。練習試合では本塁打を浴び、サヨナラ負けを喫することもあった。その度に走り込みを続けた。

 昨夏、鳥栖に逆転負けしたことが一つの転機になった。夏の暑さに負けないスタミナを養うため5キロの重りを身につけ、唐津城の階段を15本上り、そのまま浜辺で走り込んだ。冬場も熊本県の3333段の石段を3往復するなど徹底的に下半身を鍛えた。並行してチェンジアップも習得し、武器を増やして臨んだ最後の夏だった。

 「1番怒られていたけど、常に前を向いていた」と捕手の土井克也。伊藤は「次のステージで結果を残して、みんなに恩返ししたい」。敗戦を糧に再び前を向いた。

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