標準約款を改正して付帯業務などを運送業務と別立てにして荷主と運賃交渉を行う業者が増えている=佐賀県内

 荷主と運送業者との運賃契約のひな形になる「標準貨物自動車運送約款」が昨年8月に改正されてから1年。佐賀県トラック協会によると、新約款への変更を届け出た会員は、全体の約6割(5月末時点)にとどまることが分かった。ドライバーの長時間労働や賃金水準の改善につながることから、協会は新約款のさらなる周知に力を入れている。

県トラック協会 労働環境向上目指し啓発

 「標準貨物自動車運送約款」は、運送事業者の取引に関する基本的な事項が定められている。ほとんどの運送業者が国の提示した約款を運賃契約のルールとして適用することが多いという。その約款が昨年、運送の対価としての運賃と運送以外の積み込みなどを荷主に対して別々に請求できるように改正された。

 待ち時間や運送に付帯する業務を料金として請求できるようにすることで、運輸業界の労働環境向上につなげる狙いで、新約款を使用する場合、運送会社は営業所に提示し、管轄する運輸局に変更届を提出する必要がある。全日本トラック協会はホームページなどで周知徹底を図り、県トラック協会は今年6月、新約款に移行していない会員企業にファクスで呼び掛けた。

 九州一円に食品などを配送するミヤハラ物流(神埼郡吉野ヶ里町、宮原章彦社長)は昨年11月、県内でもいち早く新約款に切り替えた。宮原社長は「業界の過当競争で、運送以外の業務が運賃に含まれることが常態化していた。そんな労働環境を変えて、賃金アップにつなげたい」と、変更の理由を語る。

 一方で、業界の競争に加え、荷主と特殊な契約を結んでいる業者や立場の弱い小規模事業者は新約款への変更を言い出しにくく、それが新約款変更が6割にとどまる背景にあるようだ。

 ただ、ヤマト運輸の値上げなどで、業界の長時間労働や低賃金、高齢化についての理解は少しずつだが進んできた。唐津市の松浦通運社長で県トラック協会の馬渡雅敏会長は「新約款に基づき、価格交渉に応じてくれる取引先は多いはず。業界の抱えていた問題が解決される契機になれば」とし、「会員全体の7~8割が新しい約款に移行することが目標」と話した。

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