「もっと多くの人にイノシシが活用できることを知ってほしい」と精製工場で話す百田社長=佐賀市高木瀬町

 動物油脂を使った化粧品の製造、販売を行う「忠兼(ただかね)総本社」(佐賀市高木瀬町長瀬、百田忠兼社長)が、イノシシ脂を使った化粧品開発に乗り出している。百田社長は「商品展開にはもっと多くのイノシシが必要。被害に頭を悩ませる人たちに、活用できることを知ってほしい」と呼びかける。

 同社では、もともと馬油を使った製品を製造していたが、中国人が馬油製品を爆買いした影響で、数年前から原料が高騰。そこで中山間地域の“やっかいもの”であるイノシシに着目し、開発を始めた。

 これまで、馬やエゾシカ、エミューから油を精製したことはあったが、イノシシは初めて。臭みが強く、精製や脱臭する温度を見極めるのに苦戦。「寝るときもイノシシのことで頭がいっぱいだった」と百田社長。半年かけて、透明で無臭の油の精製に成功した。

 取り出した油を成分分析すると馬油よりもさらに人の肌の成分に近いことが判明した。同社では1月から、イノシシ脂100%で、香料などは使わない保湿クリーム「ぼたん油」を製造しているが、「肌なじみがよく、べたつかない」と好評という。

 原料の脂は、イノシシ肉の食肉加工会社から買い取っている。美容液や髪のトリートメントなど他の製品展開も考えているが、供給が足りないのが現状だ。

 同社は、各地にイノシシを回収する拠点を設け、買い取る仕組みを考案中。百田社長は「イノシシを資源として地域循環につなげたい」と準備を進めている。

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